韓国の映画やドラマで、一度見たら忘れられない圧倒的なオーラを放つ女優といえば、皆さんは誰を思い浮かべますか?多くのファンがその名に挙げるのが、チン・ソヨン(진서연)でしょう。
そんな彼女が今回、映像の世界を飛び出し、演劇の舞台に立つことが決定しました。出演するのは、国立劇団(韓国を代表する演劇制作団体の一つ)が制作する話題作「彼の母 Mother of Him」です。
■「美化された母性」を打ち砕く、あまりにも痛烈な物語
この「彼の母 Mother of Him」は、2025年に初演された際、驚異的な満足度とチケットの売り上げを記録し、韓国の演劇界で「2026年、観客が最も見たい作品」に選ばれた、まさに「お墨付き」の一作です。
舞台のテーマは非常に重く、そして衝撃的です。主人公は、一晩の間に3人の女性を襲った未成年者の息子を持つ母親、ブレンダ。物語は、彼女の凄絶な心理的崩壊と、社会から向けられる冷ややかな視線を赤裸々に描き出します。
韓国ドラマといえば、子供のためにすべてを捧げる「犠牲的な母親像」がよく描かれます。かつての韓国社会では、儒教的な価値観から「母性=無条件の愛と犠牲」というイメージが非常に強かったためです。しかし、この作品はそのステレオタイプを真っ向から否定します。チン・ソヨンが演じるブレンダは、時には利己的で、時には凍りつくほど冷淡な姿を見せる「一人の未熟な人間」なのです。
■「ガールクラッシュ」の象徴、チン・ソヨンが挑む新境地
チン・ソヨンといえば、日本でも大ヒットした映画「毒戦 BELIEVER(2018年の犯罪アクション映画)」での狂気的な演技が有名です。その後も、ドラマ「幸せバトル(2023年のサスペンスドラマ)」や「次の人生はないから(2025年のドラマ作品)」などで、常に強烈な印象を残してきました。
「ガールクラッシュ(同性が憧れるかっこいい女性)」という言葉がこれほど似合う俳優もなかなかいませんが、今回の舞台では、そのカリスマ性を「母親としての苦悩と回避」という複雑な感情へと昇華させることになります。
チン・ソヨンは出演にあたり、「作品が投げかける重厚な問いに深く魅了されました。未熟な一人の人間が、恐怖から逃げ、回避し、次第に疲弊していく過程を、緊張感を持って見せたい」と意気込みを語っています。
■カナダの実話を基にした、国境を越える普遍的な問い
この物語の原作は、イギリスの有名劇作家エヴァン・プレイシー(Evan Placey)がカナダでの実話を基に書き下ろした戯曲です。雪が降り積もるカナダのトロントを舞台に、家宅捜索中の息子を見守る母親の苦しい2週間が描かれます。
今回の再演に合わせて、原作者のエヴァン・プレイシー自身も来韓を予定しています。彼は「私の戯曲が韓国の舞台で再び生命力を得る過程は驚異的だ。韓国の観客が、この悲劇をどのような視線で見つめるのか非常に楽しみだ」とコメントを寄せています。
また、今作では「ドラマトゥルク(劇作家や演出家を学術的な視点で支える専門スタッフ)」としてチョ・マンス(조만수)が合流し、物語の密度がさらに高まることが期待されています。
■誰もが楽しめる舞台を目指す「アクセシビリティ」への取り組み
近年、韓国のエンターテインメント業界では「バリアフリー(障害の有無にかかわらず楽しめる環境)」への意識が非常に高まっています。今作も5月2日から4日までの公演では、韓国手話通訳、韓国語字幕、音声解説、舞台模型タッチツアー(視覚障害者が舞台セットを触って理解するツアー)などが提供される予定です。こうした「誰一人取り残さない」という姿勢も、現在の韓国文化が世界で支持される理由の一つかもしれません。
「彼の母 Mother of Him」は、4月16日から5月17日まで、ソウルの演劇の聖地とも言える「明洞芸術劇場(ミョンドン・イェスル・グッジャン)」で上演されます。
「私たちは果たして、この母親に石を投げることができるのか?」
作品が投げかけるこの鋭い問いを、チン・ソヨンがどう表現するのか。皆さんは、犯罪者の親にも「無条件の愛」を求めますか?それとも彼女のような「一人の人間」としての苦悩に共感するでしょうか。ぜひ、あなたの考えをコメントで聞かせてくださいね!
出典:http://www.joynews24.com/view/1946567
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