韓国エンタメ界で今、最も熱い視線を浴びているジャンルの一つが「創作ミュージカル」です。その中でも、韓国の伝統的な説話にパワフルなロックサウンドを掛け合わせ、観客に衝撃を与えた話題作『紅蓮(ホンリョン)』が、待望のスペシャルOSTミュージックビデオ(MV)を公開しました。
本作は「第9回韓国ミュージカルアワード(韓国で最も権威のあるミュージカル賞の一つ)」で作品賞を受賞し、作品性と大衆性の両方で高い評価を得た超話題作。今回のMV公開により、その独創的な世界観がさらに広がることになりそうです。
■ 伝統怪談「薔薇花紅蓮伝」を現代的な解釈で再構築
まずは、この作品の背景にあるストーリーを少しご紹介しましょう。タイトルの「紅蓮(ホンリョン)」とは、韓国では誰もが知っている古典説話『薔薇花紅蓮伝(チャンファ・ホンリョンジョン)』に登場する姉妹の妹の名前です。
この物語は、継母の計略によって無念の死を遂げた姉妹が幽霊となって現れ、村の首領に自分たちの恨みを晴らしてほしいと訴えるという、韓国版「四谷怪談」とも言える悲劇的な復讐譚。日本では、キム・ジウン監督によるホラー映画『箪笥(たんす)』のモチーフになったことでも有名です。
ミュージカル『紅蓮』は、この伝統的な物語をベースに、死後の世界の裁判所に立った紅蓮の物語として再構成されました。今回のMVでは、キャラクターたちの渦巻く感情を、光と影のコントラストが美しい「ミザンセーヌ(演出上の視覚効果)」で表現しており、舞台とはまた違った没入感を味わうことができます。
■ ロックサウンドと伝統楽器「コムンゴ」が奏でる唯一無二の調べ
公開されたMVは3本。それぞれが作品の核心を突く重要なナンバー(劇中歌)となっています。
1曲目の『怪物(クェムル)』には、今作から新しく加わったイ・ジヘ(이지혜)とカン・ヘイン(강혜인)が参加しました。イ・ジヘといえば、ミュージカル『エリザベート』など数々の大作でヒロインを務めてきた実力派。彼女が爆発的な歌唱力で「紅蓮」の怒りと苦痛を表現する一方で、カン・ヘインは澄んだ繊細な歌声で、その対比がドラマティックな緊張感を生んでいます。
2曲目の『君の話の結末(ネ イェギエ キョルマル)』は、紅蓮と、彼女を導く存在である「バリ」の感情が真っ向からぶつかり合うデュエットナンバーです。キム・イフ(김이후)、キム・ギョンミン(김경민)、ホン・ナヒョン(홍나현)、イ・ジヨン(이지연)らが参加したこの曲で注目すべきは、その楽器編成。
ギタリストのイ・ヘジュン(이해준)による激しいロックギターに、韓国の伝統的な弦楽器である「コムンゴ(6本の弦を持つ撥弦楽器)」の奏者カン・テフン(강태훈)が加わっています。重厚なロックサウンドと、コムンゴ特有の深く響く音色が混ざり合い、現代と古典が交錯するような独特の魅力を放っています。
■ 死者の魂を慰める「洗キム」の儀式が圧巻のラスト
最後に公開されたのは、イ・アルムソル(이아름솔)が歌う『洗キム&愛せ(シッキム&サランハラ)』。この曲は今回の再演で初めて追加された新曲で、作品のテーマである「癒やしと解放」を象徴しています。
ここでキーワードとなるのが「洗キム(シッキム)」という言葉です。これは韓国の全羅道地方に伝わる伝統的なシャーマニズムの儀式「洗キムクッ(死者の魂の恨みを洗い流し、極楽往生を願う儀式)」から来ています。
MVでは、この儀式に欠かせない「紙銭(チジョン)の舞(死後の世界で使うお金を模した白い紙を持って踊る舞)」が取り入れられており、韓国的な情緒がこれでもかと詰め込まれています。イ・アルムソルのパワフルな声量によって、深い慰めと解放感が同時に押し寄せてくる名シーンとなっています。
■ 渡韓してでも観たい!進化を続ける韓国ミュージカル
すでにOSTを聴いた韓国のファンからは、「捨て曲なしの完成度」「音楽だけで一つの物語が完結している」といった熱狂的な反応が相次いでいます。
韓国のミュージカル界は、近年非常にレベルが高まっており、K-POPファンやドラマファンが「推し俳優」をきっかけに劇場へ足を運び、その迫力に圧倒されてリピーターになるケースが後を絶ちません。特に大学路(テハンノ:ソウルにある劇場が集まるエリア)を中心に、こうした小中劇場規模の密度の濃い作品が次々と生まれています。
現在、ミュージカル『紅蓮』はソウルの「忠武アートセンター(ソウル中区にある有名な文化施設)」の中劇場ブラックで5月17日まで上演中です。出演はイ・ジヘ、イ・アルムソルのほか、シン
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