今、韓国のミュージカル界で最も熱い視線を浴びている一作があります。それが、伝説のドラマを舞台化したミュージカル『黎明の瞳(ヨミョンエ ヌンドンジャ)』です。主演を務めるパク・チョンア(박정아)とペク・ソンヒョン(백성현)の圧倒的な演技力が、「まるで当時のドラマの熱狂がそのままステージに舞い降りたようだ」と、観客の間で大きな話題を呼んでいます。
今回は、この作品がなぜこれほどまでに韓国の人々の心を揺さぶるのか、そして主演二人がどのような覚悟でこの大役に挑んだのか、その舞台裏に迫ります。
■最高視聴率58.4%!韓国の歴史を象徴する伝説の原作とは?
日本の韓流ファンの皆さんにとって、「韓国の国民的ドラマ」といえば何を思い浮かべるでしょうか?『冬のソナタ(2002年の大ヒット作)』でしょうか、それとも『トッケビ(コン・ユ主演の人気作)』でしょうか。
実は、それら以前の1991年、韓国中をテレビの前に釘付けにした怪物級のドラマがありました。それが本作の原作である『黎明の瞳』です。最高視聴率は驚異の58.4%。これは日本の歴代ドラマ視聴率ランキングでもトップを争うような数字で、当時の韓国では「放送時間になると街から人が消える」と言われたほどの社会現象を巻き起こしました。
物語の舞台は、日本統治時代から朝鮮戦争へと続く激動の韓国現代史。引き裂かれる恋人たちの悲恋を軸に、戦争の悲惨さと生き抜く力強さを描いた壮大な叙事詩です。韓国の人々にとってこの作品は、単なる娯楽を超えた「自分たちのルーツや痛みを再確認する教科書」のような存在。そんな重みのある作品がミュージカル化されるとあって、開幕前からファンの期待値は最高潮に達していました。
■元アイドルの意地と子役出身の実力派が魅せる最高のケミストリー
この重厚な物語でヒロインのユン・ヨオク役を演じているのが、パク・チョンアです。
日本のファンには、伝説のガールズグループ「Jewelry(ジュエリー、2000年代に活躍した4人組)」のリーダーとしての姿を覚えている方も多いかもしれませんね。アイドルから女優へ転身し、着実にキャリアを積んできた彼女ですが、今回の舞台にかける意気込みは並大抵のものではありませんでした。
「作品の中に『必ず生き残らなければならない』というセリフが何度も登場しますが、私自身もその言葉を胸に、覚悟を決めて準備しました」と語るパク・チョンア。なんと7ヶ月もの間、他のスケジュールを削って練習に没頭し、熾烈なトレーニングを重ねてきたそうです。その結果、彼女の持ち味である哀愁漂うボーカルと繊細な感情表現が見事に開花し、過酷な運命に翻弄される女性の強さを完璧に体現しています。
一方、相手役のチェ・デチを演じるのがペク・ソンヒョンです。
彼は、日本でも空前のブームとなったドラマ『天国の階段(クォン・サンウ主演の名作)』で、主人公チャ・ソンジュの少年時代を演じていた「あの少年」です。今や韓国を代表する演技派俳優へと成長した彼が、今作では安定した演技と力強い歌声で舞台の中心を支えています。
この二人が生み出す「ケミ(相性、ケミストリーの略)」が素晴らしく、観客からは「ドラマを舞台で再び見ているような没入感」「二人の歌声が重なる瞬間、鳥肌が立った」といった絶賛の声が相次いでいます。
■360度の没入型ステージ!観客を物語のど真ん中へ
今回のミュージカルが評価されている理由は、俳優の熱演だけではありません。演出面でも、これまでの舞台の常識を覆す試みがなされています。
会場である「コンバース・ステージ・アリーナ黎明」では、なんと360度のパノラマ舞台を採用。さらに大型LED演出を駆使することで、観客は客席に座りながらにして、戦火の中や吹雪の荒野に放り出されたかのような臨場感を味わうことができます。
韓国のミュージカル界は、近年「没入型(イマーシブ)」と言われるスタイルが主流になりつつあります。舞台と客席の境目をなくし、俳優の吐息が聞こえるほどの至近距離でストーリーを体感させる演出は、まさにエンタメ大国・韓国ならではのこだわり。制作陣も「俳優たちが自由に舞台を駆け巡り、観客と至近距離で呼吸を合わせることが、この作品の最大の強み」と自信を見せています。
■今、私たちがこの物語を見る意味
パク・チョンアが語った「生き残らなければならない」という言葉は、かつての激動の時代を生き抜いた人々への敬意であると同時に、先行きの見えない現代を生きる私たちへのエールのように聞こえます。
ミュージカル『黎明の瞳』は、4月26日までソウル・銅雀(トンジャク)区のコンバース・ステージ・アリーナ黎明にて上演されています。もしこの期間に韓国を訪れる機会があれば、韓国人の魂を揺さぶるこの壮大なドラマを、ぜひ生で体験してみてはいかがでしょうか。
子役時代から見守ってきたペク・ソンヒョンの成長した姿や、全力で舞台に挑むパク・チョンアの歌声に、きっと胸が熱くなるはずです。
あの懐かしの『天国の階段』の少年が、今や伝説の役を演じるトップ俳優に。皆さんはペク・ソンヒョンの出演作で、他に印象に残っているものはありますか?ぜひコメントで教えてください!
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