韓国ドラマ界で「えくぼの王子様」として絶大な人気を誇るキム・ソンホ(김선호)が、自身の原点とも言える「舞台」の道に再び光を灯しています。
現在、ソウルの演劇の聖地・大学路(テハンノ)で上演中の舞台『秘密通路』(비밀통로)が、単なる新作公演という枠を超え、日韓の文化交流という側面からも大きな注目を集めています。本作は、日本の演劇界を代表する劇作家、前川知大(まえかわ ともひろ)氏の作品を原作としており、日本の繊細な物語に韓国特有の熱い感情表現が加わった意欲作です。
今回は、この冬から春にかけて韓国の演劇界を熱くさせている舞台『秘密通路』の見どころと、その背景にある韓国演劇文化の魅力に迫ります。
■生と死の境界線で「自分」を探す、幻想的な物語
舞台『秘密通路』は、去る2月13日からソウル・大学路にある「NOL(ノル)シアター(大学路ウリ投資証券ホール)」で幕を開けました。
物語の舞台は、現実でも死後の世界でもない、その中間にある奇妙な空間です。記憶を失った二人の男、ドンジェとソジンは、出口の見えない見知らぬ場所で目を覚まします。二人は、そこにある「前世が記された本」を通じて、まるでタイムトラベルをするかのように過去の人生を追体験していくことに。
紀元前まで遡る壮大な因縁に触れる中で、彼らは自分たちが知っていた「人生」というものが、宇宙の大きな流れのほんの一部に過ぎないという事実に気づき始めます。「人生に時効などない」という劇中のメッセージは、観客の心に深く刺さり、連日満席の客席からはすすり泣く声も聞こえてくるほどです。
■日本演劇界の至宝・前川知大氏の作品が韓国で愛される理由
この作品の原作は、日本の劇作家・演出家として名高い前川知大氏の『欠陥の会議室』です。前川氏は、読売演劇大賞の最優秀演出家賞や作品賞を何度も受賞している、まさに現代日本演劇界の巨匠。彼の代表作である『散歩する侵略者』や『太陽』は韓国でも映画や舞台として紹介されており、韓国の演劇ファンの間でも非常に知名度が高い作家です。
今回、韓国での上演に際して前川氏自身も客席に足を運び、「洗練された感覚と温かいエネルギーが印象的な公演」と、韓国版のプロダクションに太鼓判を押しました。
韓国では、日本の小説や演劇作品が「叙情的で余白のある美しさがある」として非常に好まれる傾向にあります。そこに、韓国の俳優たちのダイナミックな演技と、情熱的な解釈が加わることで、原作とはまた違った「韓国的なエナジー」を持つ作品へと進化するのです。
■「大学路」という文化と、キム・ソンホが舞台に立ち続ける意味
本作で主人公・ドンジェ役を演じるのは、Netflixドラマ『この恋、通訳できますか?』(이 사랑 통역 되나요?)への出演も決まり、世界的なスターとなったキム・ソンホです。
ここで日本のファンの方にぜひ知っておいていただきたいのが、韓国における「大学路(テハンノ)」という場所の特別さです。
大学路はソウルにある、100以上の小劇場が密集する世界でも類を見ない「演劇のメッカ」です。日本でいえば下北沢をより大規模にしたような場所ですが、韓国ではトップスターになってもこの大学路の舞台に戻ってくる文化が根付いています。
キム・ソンホ自身、もともと大学路で「演劇界のアイドル」と呼ばれるほど舞台俳優としてキャリアを積んだ苦労人です。彼にとって舞台は、カメラの前では得られない観客との直接的な呼吸を感じ、俳優としての筋肉を鍛え直す「故郷」のような場所なのです。
今作ではキム・ソンホのほかに、ドラマ『愛の不時着』(사랑의 불시착)のピョ・チス役で日本でも愛されたヤン・ギョンウォン(양경원)や、実力派俳優のキム・ソンギュ(김성규)がトリプルキャストで同じ役を演じており、俳優によって全く異なる解釈を楽しめるのも演劇ならではの醍醐味といえるでしょう。
また、もう一人の主人公・ソジン役を演じるイ・シヒョン(이시형)、オ・ギョンジュ(오경주)、カン・スンホ(강승호)らの若手実力派たちが、ベテラン俳優たちとどのような火花を散らすのかも、韓国の演劇ファンの間では大きな観劇ポイントとなっています。
■結びに:あなたの「推し」の舞台姿、見てみたくありませんか?
舞台『秘密通路』は、来る5月3日まで上演が続きます。
韓国では今、ドラマや映画で活躍するスターが、その勢いのまま大学路の小さな劇場に立つことが珍しくありません。客席との距離がわずか数メートルという空間で、推しの息遣いや涙の跡まで見える体験は、一度味わうと忘れられないものになります。
「韓国旅行のついでに演劇を観る」というのは、言葉の壁があるように感じるかもしれませんが、本作のように日本にルーツを持つ作品であれば、あらかじめストーリーを知った上で楽しむこともできます。
ドラマの中のキム・ソンホも素敵ですが、舞台の上で生身の人間として「生と死」を叫ぶ彼の姿は、きっと新しい感動を与えてくれるはずです。
キム・ソンホが大切に守り続けている「演劇への情熱」。皆さんは、彼のどんな姿に一番惹かれますか?また、韓国の劇場に行ってみたいと思ったことはありますか?ぜひ皆さんの想いをコメントで教えてくださいね!
出典:https://www.stardailynews.co.kr/news/articleView.html?idxno=527796
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