完璧主義者イ・チョンアを突き動かした好奇心。ドラマアナー出演秘話と欠点のある主人公への挑戦

韓国ドラマ界で、その圧倒的な透明感と知的な雰囲気で独自の存在感を放つ俳優、イ・チョンア(이청아)。大ヒット作『セレブリティ』(Netflixオリジナルシリーズ)での優雅な役どころも記憶に新しい彼女が、最新作『アナー:彼女たちの法廷』(아너: 그녀들의 법정)を終え、作品への深い愛と役作りへの葛藤を語りました。

2026年3月10日に最終回を迎えた今作は、過去のスキャンダルに直面した3人の女性弁護士が真実を追い求めるミステリー。イ・チョンアは劇中、大手法律事務所の弁護士ファン・ヒョンジン(황현진)を演じ、これまでのイメージを覆すほど人間味あふれる、時には「道徳的にグレー」なキャラクターに息を吹き込みました。

■ アムステルダムのカフェで運命の出会い

今回の出演が決まった経緯は、まるで映画の一シーンのようです。イ・チョンアは、休暇で訪れていたオランダのアムステルダムでマネジメント会社から「至急、台本を読んでほしい」という連絡を受けました。

「ショッピングに行こうとしていたのですが、そのままカフェに入って台本を読み始めました。6話分を読み終えるのに3時間もかからなかったと思います。監督や作家さんがなぜ私に会いたいと言ってくれたのか、その先がどうなるのか気になって仕方がありませんでした」

帰国後、パク・コンホ(박건호)監督らと対面した彼女は、作品の設定やキャラクターの背景について質問を浴びせたといいます。「好奇心が強い性格なので、疑問を解消しようと話を聞いているうちに、すっかり作品の魅力に引き込まれて出演を決めました」と、笑顔で振り返りました。

■ 「完璧な主人公」を求める韓国視聴者の視線

本作で彼女が演じたファン・ヒョンジンは、完璧な弁護士としての顔を持つ一方で、不倫相手の死を隠蔽しようとした過去を持つという、非常に複雑なキャラクターです。実はここには、韓国ドラマ特有の「主人公の道徳性」という高い壁がありました。

韓国の視聴者は、ドラマの主人公に対して非常に高い倫理性や「清廉潔白さ」を求める傾向があります。日本でも最近は「クズ役」が人気を博すことがありますが、韓国では主人公に大きな道徳的欠陥があると、視聴者が感情移入できずに激しい批判(いわゆる「バッシング」)の対象になることも少なくありません。

イ・チョンア自身も、「原作のキャラクターをそのまま持ち込むと、韓国の情緒的には大変なことになると思いました。道徳的に良くない人物に、どうやって共感してもらえるか。放送直後は攻撃されるのではないかと、実はとても怖かったです」と本音を漏らしました。

しかし、彼女はヒョンジンを単なる「悪人」ではなく、自分の過ちに怯えながらも責任を取ろうともがく「弱さと勇気を持った人間」として表現することに注力しました。

「これまで私は、カリスマ性のある悪役や財閥の令嬢など、少し距離感のある役を多く演じてきました。でもヒョンジンは、『もう、あなたは何をやってるの!』と思わず抱きしめてあげたくなるような脆さがある。その弱さが、逆に視聴者の皆さんに愛していただけた秘訣ではないでしょうか」

■ 「自分を信じる」という大切な学び

完璧主義者として知られるイ・チョンアにとって、今回の撮影は大きな挑戦でもありました。他のキャストよりも合流が遅かったため、準備時間が圧倒的に不足していたのです。

「私は本来、時間をかけて完璧に準備してから現場に行かないと気が済まないタイプ。でも今回は走りながら準備するしかありませんでした。でも、いざ現場に飛び込んでみると、監督やスタッフが作る世界観の中でキャラクターが自然に完成していくのを感じたんです。『あぁ、自分を信じてもいいんだ。なんとかなるんだ』と確信できた、とても大切な経験になりました」

ドラマの中で描かれた「性犯罪と身体的犯罪、どちらが重いのか」という重厚なテーマについても、彼女は「20年という時を経て、隠してきた傷をさらけ出し、法の裁きを受けるという選択が重要だった」と語ります。

イ・チョンアという俳優の誠実さが、ファン・ヒョンジンという「欠点だらけの女性」を、私たちが愛さずにはいられないキャラクターへと昇華させたのでしょう。

次はどんな姿で私たちの前に現れてくれるのでしょうか。美しさだけでなく、俳優としての厚みを増し続ける彼女から目が離せません。

あなたは、完璧ではないけれど一生懸命に生きるヒョンジンのようなキャラクターをどう感じましたか?イ・チョンアの新しい一面について、ぜひ皆さんの感想をコメントで教えてくださいね!

出典:https://www.mk.co.kr/article/11986514

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