韓国の演劇シーンから、ユーラシア大陸を舞台にした壮大な国際協業プロジェクトが誕生しました。極東劇団ピアック(PIAC:Performing Image Art Center)が2月14~15日、カザフスタンの首都アスタナにあるカザフ国立ミュージカルドラマ劇場で上演した『パリの二人の女性』。この舞台は、韓国とロシア、カザフスタンの3カ国の演劇アーティストが集結した、歴史的な意義を持つ作品として注目を集めています。
■3カ国が一堂に集結、1000席の劇場を熱狂させた舞台
アスタナのカザフ国立ミュージカルドラマ劇場(収容人数約1000席)での上演は、現地観客から熱い反響を呼びました。出演したのは、韓国側から7名の俳優、ロシアのスタニスラフスキー電子劇場のアナスタシャ、そしてカザフ劇場のアシルベク、アクマラルなど、合計11名の国際的なキャストです。
韓国文化体育観光部と韓国国際文化交流振興院(KOFICE)、そしてカザフスタンの韓国文化院といった公式機関が後援する本プロジェクトは、単なる演劇作品の上演ではなく、ユーラシア圏における文化連帯を目指す公共劇場ネットワークの国際共同企画として位置づけられています。極東劇団ピアックとカザフ最大規模の国立劇団による共同開催という形式自体が、東アジアと中央アジアの文化交流における新たな地平を開いているのです。
■光復80周年を記念した、隠された歴史への向き合い方
『パリの二人の女性』は、作・演出をナ・ジンファン(나진환)が手がけた、極めて人文的な作品です。その中心には、日本による支配から逃れた韓国人たちの悲劇と希望が描かれています。
舞台の中心となるのは、韓国最初の女性洋画家にして独立運動家のナ・ヘソク(나혜석)と、ロシアの文豪アントン・チェーホフの代表作『桜の園』に登場するラネフスカヤという、全く異なる背景を持つ二人の女性です。想像上のこの出会いを通じて、満州と沿海州で展開した韓人たちの独立運動、そして苛烈な強制移住という歴史的悲劇がアーティスティックに再構成されているのです。
舞台は1940年代後半のルクセンブルク庭園を背景に設定されます。異なる言語と歴史を背負った二人の女性がベンチに座り、人生の記憶を語り合う——シンプルながら深刻な設定から、複雑に絡み合う人間ドラマが展開していきます。
■歴史を超えた「人間としての連帯」を描く
作品の見どころは、歴史の重みを感じさせながらも、究極には人間性への信頼を失わない登場人物たちの姿勢にあります。
ナ・ヘソクの息子イネハは、沿海州の独立運動家によって命を救われ、カザフスタンのウシュベトで新しい共同体を形成して生きていきます。一方、ラネフスカヤの娘アーニャもまた、極限の粛清と強制収容所という悪夢を経験しながら、運命的にイネハと愛を貫きます。
二人の対話は、歴史的激動の中でも人間らしさを失わない意志と連帯を浮き彫りにします。そして劇の終幕——互いに相手の身内であることを知らぬまま、二人の女性は人間の素晴らしさへの信念を手放さず、未来世代への希望を歌いながら幕を閉じるのです。これは単なる悲劇の追悼ではなく、過去と現在、そして未来をつなぐ人間精神への讃歌ともいえるでしょう。
■過去を振り返るのではなく、現在を照らす鏡として
ナ・ジンファン極東劇団ピアック代表は、このプロジェクトについてこう語っています。「光復80周年を記念し、私たちが何を記憶し、何を省察すべきかを問いかけたかった」と。そして「この演劇が過去の回顧に留まるのではなく、今日の私たちを映し出す鏡となることを望む」と述べています。
実は、『パリの二人の女性』は既に2025年6月の光復80周年記念公演として韓国の観客たちと出会っています。そのアスタナでの上演は、この作品が単なる韓国国内の記念企画ではなく、ユーラシア全域に向けて発信される国際的なメッセージへと拡張されたことを意味しているのです。
カザフスタン、ロシア、そして韓国——かつて激動の歴史の中で運命を共有した地域の観客たちの前で、三国の芸術家たちが一堂に集って上演される意義は計り知れません。2月14~15日のアスタナでの成功は、近年高まる韓国文化の国際的プレゼンス拡大という文脈だけでなく、東アジアと中央アジアを結ぶ文化ネットワークの構築という、より大きなビジョンを実現した瞬間ともいえるでしょう。
歴史の傷跡に寄り添い、人間への信頼を忘れない——韓国の演劇が世界に送り出したそのメッセージが、今、ユーラシアの心を打ち始めています。
出典:https://www.fntoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=378026





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