大作2本に挟まれても3位キープ。映画ナンバーワンが静かに心をつかむ理由

■ 大作陣営の中で存在感を放つ「感性映画」の価値

2月19日の韓国映画興行成績で、興味深い現象が起きている。圧倒的な製作規模を誇る大型映画が上位を独占する中、ひっそりと3位をキープしている作品がある。それが『ナンバーワン』だ。

チェ・ウシク(최우식)とチャン・ヘジン(장혜진)がW主演を務めるこの映画は、設定も派手さも制作規模も、ライバル作品とは比べものにならない。だが、その「素朴さ」こそが、今の韓国映画ファンの心に響いている。

同日、韓国映画館に足を運んだ観客数は約36万人。前日の99万人近くから急減しているが、これは平日ならではの自然な流れ。上位の動きは変わらず、チャン・ハンジュン監督の史劇『王と生きる男』が約24万人を動員して1位をキープ。ユ・スンウォン監督のスパイアクション『HUMINT』がその後に続いている。そして、静かに第3位の座を守っているのが『ナンバーワン』というわけだ。

■ 親子の日常が織りなす、ファンタジーと現実のあわい

本作の物語は、日本の小説『お母さんの手料理を食べられる回数は、これからあと328回です』を原作としている。

主人公・ハミン(チェ・ウシク)がある日気づくのは、母親・ウンシル(チャン・ヘジン)の手料理を食べるたびに、自分の中で数字がひとつずつ減っていくということ。その数字が0に到達したとき、母親との別れが訪れるという不思議な運命。母と子が向き合う食卓での時間が、限られた日々の中で何度あるのかを象徴する、切実で美しい設定だ。

『巨人』『女教師』で知られるキム・テヨン監督がメガホンを握った本作は、壮大なアクションシーンや豪華なスケールの代わりに、食卓に置かれたひとつの食事と親子の会話を物語の中心に据えた。2026年の旧正月(ソルラル)を見据えた、制作費40億ウォン規模のファミリーヒーリング映画として企画されたものだ。

しかし、100億ウォン超の『王と生きる男』、235億ウォンを投じた『HUMINT』という規模の大きさの前では、制作予算も上映館数も限定的。それでも、この作品が「今この瞬間の大切さ」というメッセージで観客の静かな共感を集めているのは、エンタメとしての完成度の証だろう。

■ 「千万俳優」たちが選んだ、商業的スケールを超えた選択肢

映画『寄生虫』で「千万(1000万人超動員)俳優」の称号を手にしたチェ・ウシクとチャン・ヘジンが、『ナンバーワン』で見せるのは、映画スターとしてのもう一つの表情だ。

特にチェ・ウシクは、本作で大事件の中心人物ではなく、日常の悲しみに耐える平凡な息子として戻ってきた。母親の死が予定調和として宣告された状況の中でも、ジョークを交えて雰囲気を和らげ、恋人には不器用ながら心からの慰めを与える。これは、チェ・ウシク特有の「生活に密着した演技」の真骨頂である。

「もう十分に愛されていいんじゃないか」という一台詞は、観客に深い余韻を残す。絶望的な設定の中でも、過度な表現に頼らず、眼差しと呼吸だけで感情を積み重ねていき、映画全体の温度感を調整するそのさまは、演技派としての成熟を感じさせる。

数字上の興行成績は、同期上映作品と比べて控えめかもしれない。だが、チェ・ウシクのこうした演技上の選択は、彼の俳優としての歩みに確実に新しい色を加えている。商業的スケールよりも作品のメッセージを優先させた判断は、彼のフィルモグラフィに深みと奥行きをもたらしているのだ。

一方、ハミンの恋人・リョウン役を演じたコン・スンヨン(공승연)も、映画の感性をしっかりと支えている。彼女は結欠を抱えながらもそれを隠さず、愛の前でも自分の選択に正直な女性として描かれている。本編でハミンの悲しみを静かに包み込み、ときには現実的なアドバイスで彼に落ち着きをもたらす存在。映画関係者からは「安定感のあるガールフレンド」という評価も上がっており、過度な感情表現に頼らない安定した演技で、映画全体のバランスを保つ重要な役割を果たしている。

■ 入り口は感性、そして口コミが運命を変える

『ナンバーワン』は、大作デュオに押されてボックスオフィスの上位で苦戦中だ。だが、「感性的な評判」という新たな可能性を秘めている。

記録的な配給力とスクリーン数で先行する作品たちに対し、本作が打ち出したのは、設営会場で「お米」をプレゼントするというユニークなマーケティング戦略。控えめながらも、作品の情動性を巧みに表現しようとした工夫だ。

韓国映画館全体で韓国映画が90%超のシェアを占める競争環境の中、素朴なストーリーで勝負を挑むこの作品が、今後どこまで観客の心を叩き続けることができるか。大作の喧騒の中で、静かに輝く感性映画の行く先が注視されている。

出典:https://www.tvreport.co.kr/breaking/article/1003333/

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