Netflixで世界的に大ヒットした韓国ドラマ『今、私たちの学校は…』(ゾンビウイルスが蔓延した高校を舞台にしたパニック・サバイバル)や、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』(怪物化した人間たちと戦うダークファンタジー)。これらの名作には、ある共通点があることをご存知でしょうか?
実は、原作となったウェブトゥーン(韓国発のデジタルマンガ)の作者たちは、韓国にある「清江(チョンガン)文化産業大学」の卒業生なのです。今や世界を席巻するKコンテンツの「才能の揺り籠」として注目を集めるこの大学のトップ、チェ・ソンシン(최성신)総長が、その独自の教育哲学を語りました。
■ 総長が「大学ジャンパー」を着る理由。現場主義の「生きた大学」とは
インタビューの場に現れたチェ・ソンシン総長は、かっちりとしたスーツではなく、大学のロゴが入った鮮やかなオレンジ色の「クァジャン」に身を包んでいました。「クァジャン(과잠)」とは、韓国の大学生が自分の学科や大学に誇りを持って着るスタジアムジャンのことで、韓国のキャンパスライフを象徴するアイテムです。
「学生たちが写真に写り込むのもいいですね。彼らがキャンパスにいる姿こそが、清江文化産業大学のリアルであり、『生きている大学』の姿ですから」
そんな気さくな言葉から始まったインタビュー。チェ・ソンシン総長自身、韓国芸術総合学校(多くの名俳優を輩出している韓国屈指の芸術大学)で演出を学び、ミュージカルや音楽公演の演出家として活躍してきた「現場の人」です。
その経験から、大学の授業は常に「現場より半歩先を行くこと」を強調しています。教授陣にはウェブトゥーンやゲーム、公演の第一線で活躍する専門家を揃え、学生とプロが対等にフィードバックを出し合う環境を整えています。時には学生が、教授さえも知らない最新の資料を見つけてくることもあるのだとか。
■ 「失敗してもいい」と言い切る勇気。Kコンテンツを支える「創作の筋肉」
清江文化産業大学が「創作のメッカ」と呼ばれる背景には、「創作の筋肉」というユニークな言葉があります。
「私たちはよく『創作の筋肉を鍛える』という表現を使います。これは、創作の過程で必ず経験する失敗を恐れず、何度も挑戦する力のことです。学生には『学校にいる間にたくさん失敗しなさい』と伝えています。何が価値のある失敗だったのかを見極める過程で、クリエイターとしての本物の実力が育つのです」
この考え方は、今の韓国コンテンツがなぜこれほどまでにパワフルなのかを物語っています。単に綺麗な絵を描く、面白い話を考えるだけでなく、何度倒れても新しいジャンルを切り拓くバイタリティこそが、ウェブトゥーンという新しい文化を世界に根付かせたのです。
また、AI(人工知能)が急速に進化する今だからこそ、同大学では「人間への理解」を深めることに注力しています。約300坪もの広さを誇る「漫画図書館」を再オープンさせ、学生たちが数十年にわたる漫画やグラフィックノベル(芸術性の高い漫画作品)のアーカイブに触れ、創作の歴史と美学を肌で感じられるようにしました。
■ 日本のファンも必見!Kカルチャーの「宝箱」を守るインフラ
韓国では現在、ウェブトゥーンの作家やゲームクリエイターは、若者たちの憧れの職業です。チェ・ソンシン総長は、韓国がこれからも「コンテンツの宝箱」であり続けるためには、ジャンルの多様性と持続可能性が不可欠だと語ります。
「Kカルチャーの中心には、コンテンツを生み出すクリエイターがいます。彼らが活動を続けられる社会的・文化的インフラを構築し、次世代の才能を育てることが何よりも重要です」
大学内には、クリエイターの心身の健康を支えるための運動施設「エデュプレックス」も設置されています。机に向かい続ける創作活動だからこそ、長く続けるための「体作り」も教育の一環としているのです。
『今、私たちの学校は…』や『スイートホーム』のような衝撃作が、なぜこの大学から生まれたのか。それは、最新技術に振り回されることなく、人間の本質を見つめ、失敗を恐れずに「創作の筋肉」を鍛え続けてきた結果なのかもしれません。
日本でも多くのファンを持つ韓国ドラマやウェブトゥーン。その裏側で、情熱的な学生たちと、彼らを信じて支えるチェ・ソンシン総長のようなリーダーがいることを知ると、作品の見え方がまた少し変わってくる気がしませんか?
皆さんが最近ハマっている韓国のウェブトゥーンや、ドラマ化してほしい作品はありますか?清江文化産業大学の卒業生が描いた作品かもしれません。ぜひコメントで教えてくださいね!
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