シム・ウンギョンにイ・ソジンも!韓国演劇界で今同じ名作を競い合う異例のブームが熱い理由

今、韓国の演劇界である「異例の事態」が話題を呼んでいるのをご存知でしょうか?それは、誰もが知る演劇界の古典名作を、韓国を代表する二つの大きな劇場が、ほぼ同時期に、それぞれ異なる演出と超豪華キャストで上演するという「競演」スタイルです。

昨年、ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンの名作『ヘッダ・ガブラー』で、イ・ヘヨン(이혜영)とイ・ヨンエ(이영애)という二人の大女優が火花を散らしたのに続き、今年はロシアの文豪アントン・チェーホフの傑作『ワーニャ伯父さん』がその舞台に選ばれました。

韓国ドラマや映画でおなじみのスターたちが、映像の世界を飛び出し、生の舞台でどのような演技合戦を繰り広げるのか。日本人の韓流ファンにとっても見逃せない、この「二色の舞台」の魅力に迫ります。

■ 同じ「ワーニャ」でも全く違う?二つの劇場のこだわり

今回、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』を同時期に上演するのは、韓国演劇の殿堂「国立劇団(국립극단)」と、最新の設備を誇る「LGアートセンター(LG아트센터)」です。

『ワーニャ伯父さん』は、亡くなった妹の夫である教授のために一生を捧げてきたワーニャが、教授の正体を知って絶望し、それを姪のソーニャが慰めるという、人間の悲哀と希望を描いた1897年の名作。世界中で愛されるこの物語に対し、二つの劇場は全く異なるアプローチを見せています。

国立劇団が手掛けるのは、タイトルからして大胆な再解釈を加えた『ワーニャ・アジェ(반야 아재)』。ちなみに「アジェ」とは韓国語で「おじさん」を親しみ込めて(あるいは少しからかって)呼ぶ言葉です。舞台をロシアの田舎から韓国の農村に移し、登場人物の名前も韓国式に変更。19世紀のロシアの絶望を、21世紀の韓国社会の現実に置き換えて描き出します。

一方のLGアートセンターは、タイトルを『ワーニャ伯父さん(바냐 삼촌)』とし、原作に忠実ながらも、現代の観客に響く「今の言葉」で再構築することに重点を置いています。

韓国では近年、古典作品をそのまま演じるだけでなく、現代の韓国的な情緒に翻訳して上演する「翻案(ほんあん)」文化が非常に盛んです。これは、儒教的価値観や家族の絆を重んじる韓国の文化的背景が、古典劇の持つ普遍的な悩みと結びつきやすいためだと言われています。

■ ドラマファン垂涎!シム・ウンギョン vs コ・アソンの「ソーニャ対決」

今回の競演で最も注目を集めているのが、メインキャストたちの豪華な顔ぶれです。

まず国立劇団の『ワーニャ・アジェ』で、主人公を慰める健気な姪ソーニャ役を演じるのは、シム・ウンギョン(심은경)です。映画『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、日本でもその圧倒的な実力が知られる彼女ですが、実は韓国での演劇出演は今回が初めて。実力派俳優として知られるチョ・ソンハ(조성하)との共演で、どのような「新しいソーニャ」を見せてくれるのか期待が高まっています。

対するLGアートセンターの『ワーニャ伯父さん』でソーニャ役を務めるのは、映画『グエムル-漢江の怪物-』やドラマ『ライフ・オン・マーズ』のコ・アソン(고아성)です。子役時代から天才的な演技力を発揮してきた彼女も、意外なことに今回が舞台デビュー。初挑戦となる演劇の舞台で、彼女特有の繊細な感情表現がどう花開くのかが注目ポイントです。

そして、LGアートセンター版の主人公ワーニャを演じるのは、なんとイ・ソジン(이서진)!『三食ごはん(tvNの人気バラエティシリーズ)』などのバラエティ番組での「ツンデレ」なイメージが強い彼ですが、実はデビュー27年目にして初の演劇挑戦となります。ベテラン俳優たちが、あえて厳しい生の舞台に身を置くという選択は、韓国の芸能界でも「演技への情熱」を感じさせるニュースとして好意的に受け止められています。

■ 「比べる楽しみ」が演劇のハードルを下げる

なぜ、同じ時期に同じ作品を上演するのでしょうか?専門家たちは、この「対決構図」が興行においてポジティブな効果を生んでいると分析しています。

韓国のファンは非常に熱心で、お気に入りの作品を何度も観劇する「回転門(フェジョンモン)観劇(同じ公演を繰り返し観るファンを指す言葉)」という文化があります。今回のように異なる劇団が同じ原作を上演する場合、「あちらのソーニャはどうだった?」「こちらの演出はどう解釈した?」という比較がSNS上で盛り上がり、それが強力な観覧動機になるのです。

ドラマや映画で見慣れたスターが、古典という少し敷居の高い世界に観客を誘ってくれるこの現象。難しいと思われがちな名作も、「推し」の俳優が出演し、さらに「見比べ」というエンターテインメント性が加わることで、より身近な楽しみへと変わっています。

シム・ウンギョンさんの韓国初舞台、そしてイ・ソジンさんの27年目の挑戦……。どちらの「ワーニャ」も、それぞれ異なる感動を与えてくれそうですね。

映画やドラマで素晴らしい演技を見せてくれる俳優たちが、観客の目の前で、たった一度きりの呼吸を合わせる演劇の世界。もしこの時期に渡韓の予定がある方は、劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか?

シム・ウンギョンさんとコ・アソンさん、皆さんはどちらの「ソーニャ」が気になりますか?ぜひコメントで教えてください!

出典:https://www.joongang.co.kr/article/25412433

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