シェイクスピアの不朽の名作『ロミオとジュリエット』。この物語を知らない人はいないほど世界中で愛されている古典ですが、今、韓国のエンタメ界ではこの「ロミオとジュリエット」を全く新しい視点で解釈した作品が続々と登場し、ファンの間で大きな話題を呼んでいます。
特に注目すべきは、K-POP界を代表する実力派アイドルたちが「ロミオ」として舞台に立つミュージカル版です。さらに、ピエロが演じる演劇や、もし二人が死なずに結婚していたら?という奇想天外なスピンオフまで、韓国らしい独創性に溢れたラインナップをご紹介します。
■ 実力派K-POPアイドルが競演!フランス発の大型ミュージカル
まず、日本のファンにとって最も見逃せないのが、3月20日から5月31日まで「韓電アートセンター(ソウル市瑞草区にある中大型劇場)」で上演されるミュージカル『ロミオとジュリエット』です。
この作品は『ノートルダム・ド・パリ』『十戒』と並び、フランスの「三大ミュージカル」の一つに数えられる名作。2001年のパリ初演時には、劇中歌の「Aimer(愛するという事)」や「Les Rois du Monde(世界の王たち)」がフランスの音楽チャートで1位を記録するなど、その音楽性の高さでも知られています。
今回の韓国公演で主人公ロミオを演じるのは、まさに「今」をときめく豪華な面々です。
圧倒的な歌唱力を誇るバンドグループN.Flying(エヌフライング)のメインボーカル、ユ・フェスン(유회승)。
トロット(韓国の演歌)からポップスまで歌いこなす多才なキム・ヒジェ(김희재)。
圧倒的なビジュアルと繊細な歌声を持つTHE BOYZ(ザ・ボーイズ)のニュー(뉴)。
そして、若手実力派グループCRAVITY(クレビティ)のメインボーカル、ウビン(우빈)。
韓国では、アイドルがミュージカルに出演することを「アイドルカル(アイドル+ミュージカル)」と呼び、一つの文化として定着しています。しかし、単なる集客目的ではなく、今のK-POPアイドルには「歌唱力・演技力・ダンス」の三拍子が揃ったプロフェッショナルが多いため、ミュージカル界でもその実力は高く評価されています。特にユ・フェスンのような「高音職人」や、ニュー、ウビンのような次世代スターが、古典的な悲劇をどう「韓国的な情熱」で演じるのか、期待が高まっています。
■ ピエロが描く悲劇? 想像力を刺激する異色の演劇
一方、同じロミオとジュリエットでも、全く異なるアプローチで観客を魅了しているのが、演劇『ロミオとジュリエット The Clown(ザ・クラウン)』です。
こちらは4月3日から19日まで「ドジュム・アートセンター(ソウル・漢南洞にある多目的ホール)」で上演されます。2024年の「第45回ソウル演劇祭」で最優秀賞を受賞した折り紙付きの傑作です。
物語は、二人のピエロが悪夢から目覚め、最も楽しい遊びとして「ロミオとジュリエット」ごっこを始めることから動き出します。悲劇の代名詞である物語を、ピエロ特有の遊び心とダイナミックな身体表現で描き出すことで、重苦しい物語が誰でも楽しめるエンターテインメントへと昇華されています。
韓国の演劇界では、こうした「フィジカル・シアター(身体表現を重視した演劇)」が非常に盛んです。言葉の壁を越えて感情が伝わってくるため、韓国語に自信がない日本のファンでも、役者の動きとライブ演奏の熱量だけで十分に楽しめるはずです。
■ 「もし二人が結婚して、倦怠期を迎えたら?」驚きのスピンオフ
さらに韓国らしい「逆転の発想」で描かれるのが、第20回大邱国際ミュージカルフェスティバル(DIMF)の創作支援作品に選ばれたミュージカル『再び、ロミオとジュリエット』です。
なんとこの作品、「宿敵同士の家柄を超えて結婚に成功した二人が、結婚2年目にして離婚を決意する」という衝撃の設定から始まります。ロマンチックな悲劇の代名詞である二人が、現実的な「夫婦の葛藤」に直面するというブラックコメディ。韓国ドラマでも人気の「愛憎劇」や「現実的な恋愛観」が反映されており、現代の観客が共感できる「意思としての愛」を問いかけます。
また、先日上演された演劇『ノ・ミンホとチュ・リエ』もユニークです。舞台をイタリアのヴェローナから現代の朝鮮半島に移し、南側の「ノ家」と北側の「チュ家」の対立として再解釈されました。
かつての刀を使った決闘は、思想の対立や軍事境界線へと置き換えられ、個人の純粋な感情が社会的な遺恨によって犠牲になる悲劇を、ユーモアを交えながら描いています。大ヒットドラマ『愛の不時着』を彷彿とさせる設定ですが、韓国ならではの「分断」という現実を背景にすることで、より深いメッセージを観客に届けています。
■ まとめ:進化し続ける韓国の舞台芸術
このように、今の韓国では一つの古典をそのままなぞるのではなく、多様な感性と時代背景を掛け合わせて、新しい価値を生み出し続けています。
K-POPアイドルの輝きを堪能できる大型ミュージカルから、芸術性の高い小劇場演劇、そして笑いと涙のスピンオフまで。韓国を訪れる
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