日本の韓流ファンの皆さんなら、一度はその顔を見たことがあるのではないでしょうか。ドラマ『LIVE〜君こそが生きる理由〜』の情熱的な警官役や、映画『ザ・キング』での強烈な悪役など、確かな演技力で「シーンスティラー(主役を食うほどの印象を残す脇役)」として愛されてきた実力派俳優、ペ・ソンウ(배성우)(배성우)がいよいよ銀幕に戻ってきます。
しかし、韓国国内での反応は決して芳しいものではありません。2020年に起こした不祥事以来、初の主演映画が今年4月に公開されることが決まりましたが、世論の「冷淡な視線」が大きな壁となって立ちはだかっています。
今回は、なぜ彼への風当たりがこれほどまでに強いのか、そして韓国芸能界における「復帰」の難しさについて、現地の熱量を交えて詳しくお伝えします。
■「期待の名脇役」から一転、世間を失望させた2020年の不祥事
事の発端は、2020年11月に遡ります。当時、ペ・ソンウは主演ドラマ『熱血弁護士 パク・ヨンジュ(原題:飛べ、小川の竜)』(SBS放送のリーガルドラマ)の撮影期間中であったにもかかわらず、飲酒運転で摘発されました。
韓国では近年、飲酒運転に対する社会的制裁が極めて厳しくなっています。「飲酒運転は殺人未遂に等しい」という認識が広く浸透しており、日本以上に芸能人のコンプライアンス(法令遵守)に厳しい目が向けられます。特に、ドラマの放送中にメインキャストが不祥事を起こすということは、制作陣や共演者、そして視聴者への「最大の裏切り」と見なされる傾向にあります。
この事件により、ペ・ソンウは放送中だったドラマを急遽降板。代役として、同じ事務所の先輩であり、韓国の国民的俳優であるチョン・ウソン(정우성)が急遽出演を引き受けるという、異例の事態にまで発展しました。この時、チョン・ウソンが「泥をかぶる」形で後始末をつけた姿は美談として語られる一方で、その原因を作ったペ・ソンウに対する落胆は、回復不能なほどに深まってしまったのです。
■「自粛」の期間は十分だったか?問われる韓国の「儒教的価値観」
不祥事の後、ペ・ソンウは約3年以上の期間、公の場から姿を消して「自粛(チャスク)」の時間を過ごしてきました。韓国語で「チャスク(자숙)」とは、単に活動を休むだけでなく、自らの過ちを深く反省し、静かに過ごすことを指します。
韓国社会の根底には今も「儒教的価値観」が色濃く残っています。公人は人々の模範であるべきだという意識が強く、一度ついた「道徳的欠陥」のイメージを拭い去るには、非常に長い年月と、誠実な態度が求められます。
今回の4月公開作は、彼にとって騒動後初の「主演作」となります。実は、昨年公開された映画『ボストン1947』にも出演していましたが、こちらは騒動前に撮影を終えていた作品であり、出番も大幅にカットされるなどの措置が取られました。また、Netflix(ネットフリックス)のオリジナルシリーズ『The 8 Show(ザ・エイト・ショウ)』への出演も控えていますが、劇場公開される主演映画となれば、彼一人の責任が興行成績に直結します。
韓国のネットユーザーの間では、「まだ早いのではないか」「他にも素晴らしい俳優はたくさんいるのに、なぜ彼を主役にするのか」といった厳しい意見が相次いでいます。日本では「作品とプライベートは別」と考えるファンも少なくありませんが、韓国では「不祥事俳優の顔を画面で見たくない」という感情的な拒否反応が、視聴ボイコット(不買運動)に繋がることも珍しくありません。
■ハ・ジョンウ監督とのタッグで再起を図るが、前途多難な幕開け
そんな逆風の中で公開される今回の新作は、同じく実力派俳優として知られるハ・ジョンウ(하정우)がメガホンをとった監督作としても注目されています。ハ・ジョンウ自身も過去にプロポフォール(麻酔薬の一種)の違法投薬疑惑で物議を醸した経験があり、いわば「波乱を乗り越えた者同士」のタッグとも言えます。
ペ・ソンウの演技力については、韓国国内でも異論を挟む余地がないほど高く評価されています。だからこそ、多くのファンは「あの時、なぜあんな過ちを犯したのか」と悔やみきれない思いを抱いています。
韓国の芸能ニュースサイトでは、今回の公開決定を伝える記事に「冷たい世論をどう溶かすか」という見出しが躍っています。映画がヒットするかどうかはもちろん、彼が公の場(試写会やインタビューなど)でどのような言葉を語り、再び大衆の心を掴むことができるのか。その一挙手一投足に注目が集まっています。
日本のファンとしては、彼の深い表現力を再びスクリーンで見られることを喜びたい反面、韓国現地での厳しい反応を耳にすると、複雑な気持ちになるのも事実ですよね。
ペ・ソンウという一人の俳優が、実力だけでこの逆境を跳ね返せるのか。それとも、失った信頼は演技をもってしても埋められないのか。4月の映画公開は、彼の今後の俳優人生を左右する大きなターニングポイントになりそうです。
かつて数々の名作を支えてきたペ・ソンウの復帰について、皆さんはどう感じますか?「演技で返してほしい」という期待や、「やっぱり残念」という率直な思いなど、ぜひ皆さんの声を聞かせてください。
出典:https://www.hankookilbo.com/news/article/A2026030917090005334?did=NA





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