「太陽を抱く月」や「宮廷女官チャングムの誓い」など、日本でも根強い人気を誇る韓国の時代劇(サ극:サグク)。きらびやかな韓服(한복:ハンボク)や壮大な王宮を舞台にした愛憎劇は、私たちをいつも非日常の世界へ連れて行ってくれますよね。そんな韓国時代劇の世界に、今、大きな革命が起きようとしています。
なんと、実在の俳優を一人も使わず、脚本から映像、音楽、さらにはキャラクターの口の動き(リップシンク)まで、すべてを人工知能(AI)だけで作り上げた「世界初のAI時代劇」が登場し、韓国で大きな話題を呼んでいるのです。
■AIが描く「朝鮮王朝の愛と野望」とは?
今回、世界を驚かせているのは、オールインワン映像AIプラットフォームであるモピック(Morphic)が公開したオリジナル短編映画「ムーンライト・ベール(Moonlight Veil)」です。
舞台となるのは、私たちがドラマでよく目にする朝鮮王朝(1392年〜1910年まで続いた韓国の最後の王朝)の王室。政治的な権力争いに巻き込まれながらも、切ないロマンスを繰り広げるという、まさに王道の時代劇ストーリーです。驚くべきは、この作品の脚本から制作までの全行程を、モピックのクリエイティブチームがAIを駆使して完結させたという点にあります。
これまで、AIが生成する映像といえば、ストーリー性のない短いクリップや、どこか違和感のある実験的なものが中心でした。しかし、この「ムーンライト・ベール」は違います。登場人物の顔やスタイルがシーンごとに変わることなく一貫しており、まるで本物の俳優が演じているかのような没入感を実現しているのです。
■職人技の再現?AIが描く「韓服」と「王宮」の美しさ
日本の韓流ファンが時代劇を見る際、特に注目するのが衣装や背景の美しさではないでしょうか。細かい刺繍が施された韓服や、繊細な装飾が光るかんざし(ピニョ)、そして荘厳な宮殿の佇まいは、時代劇の醍醐味です。
これまでの映像AIにとって、こうした「文化的なディテール」を正確に表現することは非常に難しい課題でした。しかし、今作では韓服特有の細かな紋様や生地の質感、さらには朝鮮時代の宮殿の複雑な構造までを精巧に再現することに成功しています。
これを可能にしたのが、モピックが持つ最新技術です。主要キャラクターの顔とスタイルを固定する「キャラクター・スタイルモデル」や、静止画を自然な動画に変える「イメージ・トゥ・ビデオ」機能、そしてセリフに合わせて自然に唇を動かす「リップシンク」技術などが組み合わさり、一つの完成された物語を紡ぎ出しました。
韓国では「時代劇は制作費がかかる」というのが常識です。豪華なセットや何百着もの衣装を準備する必要があるからです。しかし、ジェイディ・カナニ(JD Kanani)代表は、「モピックは誰もがAIで映画を作れるようにサポートするプラットフォーム。今回の作品は、AIが視聴者の感情を動かすストーリーを十分に実現できることを示した」と自信を覗かせています。
■Webチューンやドラマ制作の未来が変わる?
モピックは現在、単なる映像ツールにとどまらず、世界中の映画・ドラマスタジオ、さらにはゲームやWebチューン(韓国発の縦読み電子コミック)の制作現場への導入を進めています。
特にWebチューンのドラマ化が盛んな韓国では、この技術が普及することで、私たちが大好きな作品がより早く、より高品質な映像として届けられるようになるかもしれません。一つのプラットフォームで、画像生成から編集、サウンドデザインまで完結できる環境は、クリエイターにとって夢のような制作環境といえるでしょう。
「ムーンライト・ベール」の公開を機に、モピックは韓国市場でのビジネスを本格化させる予定です。ストーリーテリングが重要なドラマや映画の世界で、AIが「頼れる相棒」になる日は、もうすぐそこまで来ています。
もし、皆さんの「推し」の俳優さんが、AI技術によって過去の名作の若かりし姿で新作に出演したり、あるいはAIが生み出した全く新しい魅力的なキャラクターが登場したりしたら……。皆さんはどう感じますか?
AIが描く新しい時代劇の世界、皆さんは期待しますか?それとも、やっぱり生身の俳優さんの演技が一番だと思いますか?ぜひ皆さんの率直な感想をコメントで教えてくださいね!
出典:https://www.dt.co.kr/article/12050892?ref=naver





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