韓国ドラマや映画を愛する日本のファンにとって、スクリーンや画面越しに見守ってきた「あの名優たち」が目の前で演じる舞台は、いつか訪れてみたい憧れの空間ですよね。今、韓国で世代を超えた共感を呼び、大きな話題となっている舞台があります。それが、韓国を代表する名女優たちが顔を揃えた演劇「老人の夢(노인의 꿈)」です。
2026年4月25日、韓国の古都として知られる慶州(キョンジュ)の慶州芸術の殿堂・花郎ホールにて、この話題作の上演が決定しました。ソウルでの公演を皮切りに、現在は韓国全国20以上の都市を巡回中という異例のロングランを記録している本作。なぜこれほどまでに韓国の人々の心を捉えているのか、その魅力と豪華なキャスティングを紐解いていきましょう。
■「国民の祖母」キム・ヨンオクが魅せる、人生の黄昏時
本作の圧倒的な中心軸を担うのは、御年80代を超えてなお現役で活躍するレジェンド、キム・ヨンオク(김영옥)さんです。
韓流ファンなら、彼女の顔を見ない日はありませんよね。世界的大ヒット作「イカゲーム(Netflixのサバイバルドラマ)」での主人公の母親役や、「海街チャチャチャ(漁村を舞台にしたヒーリングロマンス)」での愛すべきおばあさん役など、数えきれないほどの作品で「韓国のオンマ(お母さん)」や「ハルモニ(おばあさん)」を演じてきました。
韓国では彼女のことを親しみを込めて「国民のハルモニ(国民のおばあさん)」と呼びます。儒教的な価値観が根付く韓国社会において、目上の人を敬う文化は非常に強く、彼女のような大ベテランが舞台に立つこと自体が、観客にとって大きな敬意と感動の対象となるのです。
今回の舞台で彼女が演じるのは、人生の最期を静かに準備する老女「チュネ」。単なる「老い」の悲しみだけでなく、長い歳月を生き抜いてきた知恵と、胸に秘めた後悔を繊細に演じ分け、観客を涙に包みます。
■豪華すぎる共演陣!ハ・ヒラとシン・ウンジョンの繊細な演技
キム・ヨンオクさんを支える脇役陣も、ドラマファンにはたまらない豪華な顔ぶれです。
まず注目したいのが、ハ・ヒラ(하희라)さん。80年代から90年代にかけて「ハイティーンスター」として絶大な人気を誇り、最近ではドラマ「青春の記録(パク・ボゴム主演の成長物語)」で主人公の母親役を演じたことでも記憶に新しいですよね。夫である俳優チェ・スジョン(최수종)さんと共に、韓国を代表する「おしどり夫婦」としても有名です。
さらに、ドラマ「ミセン-未生-(囲碁棋士を目指した青年が商社で奮闘する物語)」や「シンイ-信義-(タイムスリップ時代劇)」で見事な演技を見せたシン・ウンジョン(신은정)さんも出演。彼女もまた、人気俳優パク・ソンウン(박성웅)さんの妻であり、実力派女優として知られています。
この三世代にわたる女性たちが、家族ゆえの「近すぎて言えない本音」や「ぎこちない関係」をリアルに描き出します。特に、思春期の娘と中年の母、そして老いた祖母という、日本の家庭でも身に覚えのある「家族の風景」は、言葉の壁を越えて深く心に刺さるはずです。
■ウェブトゥーンが原作!現代韓国が抱える「100歳時代」のリアル
この演劇の原作は、ペク・ウォンダル(백원달)作家による同名のウェブトゥーン(韓国発のデジタル漫画)です。
最近の韓国エンタメ界では、「梨泰院クラス(復讐と成功を描いた青春劇)」や「ムービング(超能力を題材にしたアクション劇)」のように、ウェブトゥーン原作のドラマが大ヒットするのが定番となっていますが、その波は演劇界にも広がっています。
物語のテーマは「100歳時代」を生きる私たちの人生です。韓国は日本と同様、あるいはそれ以上のスピードで少子高齢化が進んでいる社会。そんな中で、「黄昏時を迎えた時に、人は何を夢見るのか?」という問いかけは、現代を生きるすべての人にとって切実なテーマとなっています。
劇中では、自分の死に支度をする老人、父親と折り合いの悪い中年女性、そして新しい母親を受け入れられない高校生の娘という、バラバラな家族が描かれます。消えゆく「家族」の価値を再確認し、日常の忙しさで忘れていた「夢」という言葉をもう一度思い起こさせてくれる内容に、各都市で絶賛の声が上がっています。
■韓国の「文化のある日」とは?慶州で楽しむ芸術
今回の慶州公演は、「文化のある日(문화가 있는 날)」という行事の一環として開催されます。
韓国では毎月最後の水曜日(またはその週)を中心に、国民が気軽に芸術に触れられるよう、映画館や美術館、公演会場などで割引や無料開放が行われる制度があります。今回の「老人の夢」も、慶州市民や大学生などは50%割引で鑑賞できるなど、地域に根ざした文化支援が行われています。
公演が行われる慶州は、日本でいえば奈良や京都のような場所。歴史的な街並みを散策した後に、韓国のトップ女優たちが紡ぐ家族の物語に耳を傾ける……そんな旅のプランも素敵だと思いませんか?
「あまりにも早く流れていく日常の中で、ふと立ち止まって自分の人生と家族を振り返る時間」
制作陣が語るこのメッセージは、韓国のみならず、日本で暮らす私たちにも必要な時間かもしれません。キム・ヨンオクさんをはじめとする俳優たちの深みのある演技は、観る者の心に静かですが深い余韻を残すことでしょう。
韓国ドラマで何度も見かけた、あの温かな「おばあちゃん」の眼差し。キム・ヨンオクさんのような大ベテランが舞台で見せる魂の演技、皆さんは一度生で観てみたいと思いませんか?皆さんが「この人の演技で泣いた!」という推しのベテラン俳優さんがいたら、ぜひコメントで教えてくださいね。
出典:https://www.kbmaeil.com/article/20260309500021
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