日本の韓流ファンの皆さんなら、一度はその温和な笑顔を画面越しに見たことがあるのではないでしょうか。韓国で「国民のお父さん」として絶大な信頼と人気を誇る名優、チェ・ブラム(최불암)さんの健康状態を巡り、今、韓国国内で大きな関心と心配の声が集まっています。
きっかけとなったのは、2026年3月8日に放送された料理バラエティ番組「アルトラン(알토란:MBNの長寿料理番組)」での一幕でした。この日のゲストとして出演した俳優のペク・イルソプ(백일섭)さんが、芸能界の大先輩であるチェ・ブラムさんの近況について、胸が締め付けられるような告白をしたのです。
■「国民の父」の異変に衝撃…バラエティ番組で明かされた切実な願い
番組内で、自身のシングルライフや過去の思い出を語っていたペク・イルソプさん。彼は、デビュー当時のエピソードを振り返る中で、今は亡き名優イ・スンジェ(이순재)さんへの思慕の念を口にしました。しかし、視聴者が最も衝撃を受けたのは、その後に続いたチェ・ブラムさんに関する言葉でした。
「最近、ブラム兄さん(チェ・ブラム)からも連絡がないんだ。電話をかけても出てもらえない……」
ペク・イルソプさんは、自分より年上の先輩たちが一人、また一人といなくなっていく寂しさを「上がどんどん空いていく」と表現しました。韓国は儒教の教えが根強く、芸能界においても「先輩(ソンベ)・後輩(フベ)」の絆は、日本の私たちが想像する以上に家族に近い、濃密なものです。特に、長年苦楽を共にしてきたベテラン俳優同士にとって、連絡が取れなくなるということは、単なる多忙以上の重い意味を持ちます。
ペク・イルソプさんは「あまりしつこく聞くこともできないし、本当に心配だ。一番上の先輩であるブラム兄さんが、病気を跳ね除けて早く元気な姿を見せてくれたらいいのだが」と、沈痛な面持ちで語りました。現在86歳という高齢であるチェ・ブラムさんの「連絡途絶」というニュースは、瞬く間にSNSやコミュニティサイトで拡散されました。
■14年続いた看板番組の降板と、重なるベテランたちの懸念
チェ・ブラムさんの健康不安が囁かれるようになったのは、実は今回が初めてではありません。彼は2011年から14年もの間、ドキュメンタリー番組「韓国人の食卓(한국인의 밥상:韓国各地の郷土料理とその土地の暮らしを紹介する人気長寿番組)」のMCを務めてきました。
しかし、昨年、彼は同番組を突如降板。当時の演出家によれば、チェ・ブラムさん本人から「頼もしい後輩に譲りたい」という申し出があったとのことでしたが、ファンの間では「体力の限界なのではないか」と心配する声が上がっていました。
さらに、不朽の名作ドラマ「田園日記(전원일기:1980年から22年間放送された韓国史上最長の国民的ドラマ)」で共演した俳優のパク・ウンス(박은수)さんも、最近の番組出演時に「チェ・ブラム先輩の具合が良くない」と言及していたことが改めて注目されています。
韓国において「田園日記」に出演していた俳優たちは、視聴者にとって「実の家族」のような存在です。その中心にいたチェ・ブラムさんの体調不良は、韓国の人々にとって、まるで自分の親の健康を心配するかのような、切実な痛みとして受け止められているのです。
■韓国人がチェ・ブラムを「アボジ(お父さん)」と呼び慕う理由
ここで、なぜこれほどまでにチェ・ブラムさんの動静が注目されるのか、その背景にある韓国特有の文化的価値観をご紹介しましょう。
韓国には「国民的〇〇」という称号が多くありますが、チェ・ブラムさんに与えられた「国民のアボジ(お父さん)」という呼び名は、単なる愛称以上の重みがあります。彼は前述の「田園日記」をはじめとする数々の作品で、厳格ながらも深い愛情で家族を守る「韓国の理想の父親像」を数十年間にわたって演じ続けてきました。
また、韓国では年長者を敬う文化が非常に強く、大御所俳優は社会の精神的な支柱としての役割も担っています。チェ・ブラムさんが歩く姿、語る言葉一つひとつが、韓国の近現代史を歩んできた世代の象徴であり、若者にとっても「古き良き韓国」を感じさせてくれる存在なのです。
そんな彼が、かつての戦友であるペク・イルソプさんの電話にも出られない状態にあるという事実は、一つの時代の終焉を感じさせる寂しさとして、多くの人々の心に響いています。
ペク・イルソプさんは番組の最後で、「自分はあと10年は現役でいたい。自分らしく、細々と、自分のやるべきことを全うして生きたい」と語りました。それは、姿を消しつつある先輩たちへの敬意であると同時に、自分自身もまた「国民の隣人」として走り続けたいという決意のようにも聞こえました。
チェ・ブラムさんの笑顔が再び画面で見られる日は来るのでしょうか。韓国中が、そして日本のファンもまた、あの温かい声が再び聞けることを心から願っています。
長年、私たちを癒やしてくれたチェ・ブラムさん。今はただ、無理をなさらず、ゆっくりと静養してほしいという気持ちでいっぱいです。皆さんの心に残っている、チェ・ブラムさんの名シーンや思い出はありますか?ぜひコメントで教えてください。
出典:https://www.sportschosun.com/entertainment
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