第48回モスクワ国際映画祭で、アン・ヘリム監督の短編映画『正動』が最優秀短編映画賞を受賞しました。朝鮮族の青年が韓国でのインターン生活を通じて経験する葛藤と、母親との絆を21分間に凝縮した作品です。
■ 世界の映画祭で3連続の快挙
2026年4月にロシアで開催された「第48回モスクワ国際映画祭」にて、朝鮮族(中国に居住する朝鮮民族)のアン・ヘリム(안혜림)監督による短編映画『正動(情動)』が、最優秀短編映画賞に輝きました。本作はすでに「第16回北京国際映画祭」と「第14回ディアスポラ映画祭」の短編部門にも選出されており、今回の受賞で国際的な評価をさらに確かなものにしました。
5月14日に行われたインタビューでアン・ヘリム監督は、「朝鮮族に対する否定的な偏見を壊し、私たちの社会が多文化な隣人をより温かく包み込んでほしいという願いを込めました」と受賞の喜びを語っています。授賞式には、映画にも出演した実の母親であるパク・ヨグァン(박여광)氏が美しい韓(ハン)ボク姿で同行し、大きな注目を集めました。
■ リアルな経験に基づいた「心の動き」を描く物語
映画『正動』は、父の突然の死をきっかけに、韓国で働く母親のもとへやってきた朝鮮族の青年、パク・リムの物語です。彼は韓国の会社でインターンとして働き始めますが、職場で「朝鮮族は責任感がない」という偏見にさらされます。そのレッテルを剥がそうと必死に努力する中で、中国での正社員採用の提案を受け、韓国に残りたい本人と、チャンスを掴んでほしい母親との間で葛藤が生まれます。
タイトルの『正動』は、感情のダイナミックな変化を意味しています。アン・ヘリム監督は、主人公が母親に対して次第に心を開いていく心理的な旅路を強調したと説明しました。本作には実際の朝鮮族の俳優たちが起用されているほか、監督の実母が出演することで、ドキュメンタリーのようなリアリティを生み出しています。
■ 変化する朝鮮族のイメージを伝えたい
1991年に中国の大連で生まれたアン・ヘリム監督は、自身も韓国への留学経験を持つ当事者です。監督は「教育を受けた若い世代の朝鮮族は、実際には韓国にあまり来ないか、来てもすぐに中国へ戻ることが多い」とし、既存のメディアで描かれがちな固定観念とは異なる、現代の若い世代の姿を映し出したかったと述べています。
モスクワ映画祭の審査委員長からは「朝鮮族としてこの物語を語るには大きな勇気が必要だったはず。非常に才能豊かに表現されており、特に母親の演技が実感を伴って完成されていた」と高い評価を受けました。アン・ヘリム監督は現在、自身のアイデンティティや故郷への想いをテーマにした長編映画の準備を進めています。
韓国国内では、5月24日と25日に仁川(インチョン)の愛観(エグァン)劇場で開催される「第14回ディアスポラ映画祭」にて本作が初公開される予定です。
出典:https://www.yna.co.kr/view/AKR20260515005800371?input=1195m
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ 朝鮮族(チョソンジョク)
中国の国籍を持ち、中国に居住している朝鮮民族のことを指します。主に中国東北部(旧満州地域)に集落を作って生活してきましたが、1992年の中韓国交正常化以降、出稼ぎや留学のために韓国へ渡る人が急増しました。韓国のドラマや映画では、事件に関わるダークな役柄として描かれることが多かったため、偏見を助長しているという指摘も少なくありません。
■ ディアスポラ(Diaspora)
もともとは離散したユダヤ人を指す言葉でしたが、現在は自らの意思や社会的な事情によって故郷を離れ、異なる地で生きる人々やそのコミュニティを指します。韓国では、在日コリアンや朝鮮族、脱北者、そして海外への養子縁組などをテーマにした文化芸術活動が「ディアスポラ」という言葉と共に語られることが多いです。
私は財閥ドロドロ系が大好きですけど、こういう社会のリアルを映し出す短編映画も、心に深く刺さるものがあって大切にしたいと思うんです。監督がお母さんと一緒にレッドカーペットを歩いたというエピソードも、映画の内容と重なって本当に素敵ですよね。皆さんは、特定のルーツを持つ人々を描いた映画を観る時、社会的なメッセージと人間ドラマのどちらに惹かれますか?





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