BTSとBLACKPINKが投じる一石。歌詞から韓国語が消えるとき、K-POPのKはどこへ行くのか?

世界中を熱狂させているK-POP。その勢いはとどまるところを知りませんが、今、本国・韓国ではある「問い」が投げかけられています。それは、「K-POPの『K(コリア)』とは一体何を指すのか?」という、ジャンルの根幹に関わる議論です。

議論のきっかけとなったのは、世界的なトップスターであるBTS(방탄소년단/防弾少年団)とBLACKPINK(블랙핑크)の最新動向でした。

■ 「アリラン」なのに韓国語がない?BTSとBLACKPINKが直面した批判

事の発端は、2026年3月にカムバックを控えたBTSの新アルバム『アリラン(아리랑)』のトラックリストが公開されたことでした。日本人にとっても馴染みのある「アリラン」という言葉は、韓国では「民族の魂」とも呼ばれる最も象徴的な民謡のタイトルです。当然、ファンや大衆は「韓国らしさを全面に出したアルバムになるのでは」と期待を寄せました。

しかし、蓋を開けてみると、収録曲のタイトルはすべて英語。歌詞にも韓国語が含まれていないことが分かり、一部から「なぜタイトルを『アリラン』にしたのか理解に苦しむ」という声が上がったのです。

同様の議論は、先月27日にリリースされたBLACKPINKの楽曲『GO』でも起きています。この曲も歌詞が全編英語で構成されており、曲の構造自体もこれまでのK-POPらしいキャッチーなメロディライン(いわゆる「ポンキ」と呼ばれる、どこか懐かしく中毒性のある韓国特有の旋律)ではなく、欧米のトレンドを色濃く反映したものでした。

これに対し、SNSなどでは「K-POPの『K』が形骸化しているのではないか」という指摘が相次いでいます。

■ 言語が持つ「アイデンティティ」の重み

「韓国語の歌詞」は、K-POPをK-POPたらしめる唯一無二の要素だと言えます。たとえメンバーに外国人が含まれていても、韓国語で歌うことで、そのグループが韓国の産業を基盤にしているというアイデンティティを証明できるからです。

ここで興味深い比較対象として挙げられるのが、プエルトリコ出身のラテン歌手、バッド・バニー(Bad Bunny)の事例です。彼は世界的なポップスターでありながら、一貫してスペイン語で歌い続けることで自身のルーツを守り抜きました。その結果、音楽的な多様性を重視するグラミー賞で、最高賞の一つである「アルバム・オブ・ザ・イヤー」にノミネートされるという快挙を成し遂げました。

韓国の音楽関係者の中には、「K-POPが真に世界の主流音楽として認められるためには、英語に頼りすぎるのではなく、韓国語というアイデンティティを維持すべきだ」と考える層も少なくありません。

■ そもそも「K-POP」の正体とは何なのか?

では、言語を除いた「音楽性」や「システム」に注目してみるとどうでしょうか。実は、私たちが「K-POPらしい」と感じる要素の多くは、海外の文化を吸収し、韓国流にアレンジした結果生まれたものです。

例えば、K-POP特有の中毒性のあるサウンドは、ニュー・ジャックスウィングやEDM、ヒップホップなど、その時々に欧米で流行していたジャンルをベースにしています。

さらに、K-POPの根幹とも言える「練習生制度」も、実は日本やアメリカのモデルを参考に発展したものです。厳しいトレーニングを経てデビューし、一糸乱れぬ「カルグンム(刃物のようにキレのあるダンス)」を披露するスタイルは、90年代のアメリカのボーイズグループ、イン・シンク(NSYNC)などの影響を受けています。

特筆すべきは、SMエンターテインメントの創業者であるイ・スマン(이수만)氏が、過去に日本の「ジャニーズ事務所」の育成システムをベンチマークしたという点です。デビュー前の練習生をバックダンサーとして舞台に立たせ、実戦経験を積ませながらファン層を広げていく手法は、日韓のアイドル文化が深く結びついていることを物語っています。

■ 音楽を超えた「K」のブランド価値

韓国語がなく、システムも固有のものではないとしたら、今のBTSやBLACKPINKはもう「K-POP」ではないのでしょうか?

答えは、ノーでしょう。彼らが「韓国」という国に与えているポジティブな影響力は、もはや音楽の枠を大きく超えています。

韓国文化体育観光部のデータによると、2025年の外国人観光客数は、K-POP人気の絶頂期だった2019年を上回る過去最高を記録しました。また、BTSのジョングク(정국)がSNSで紹介した「プルダックマヨ・エゴマ油マクグクス(불닭 마요 들기름 막국수)」のレシピ一つで、韓国食品メーカーの海外売上が急増したこともあります。

「マクグクス(蕎麦粉を使った麺料理)」のような伝統的な食文化が、アイドルの発信を通じて世界中に広まっていく。この強力な波及効果こそが、現在の「K-POP」が持つ真のパワーであり、新しい時代の「K(韓国らしさ)」の形なのかもしれません。

■ 私たちが守るべき「K」の境界線

かつてのK-POPファンの中には、2010年代のどこか懐かしい「K-POP特有の味」が消えていくことに寂しさを感じる人もいるでしょう。しかし、K-POPがローカルな音楽から世界のメインストリームへと進化するためには、この「アイデンティティの模索」は避けて通れないプロセスです。

「韓国語をどれだけ残すべきか」「どこまでグローバル化すべきか」。この議論は、K-POPが次なるステージ、例えばグラミー賞の主要部門受賞などを目指す上で、非常に重要な鍵となるはずです。

言語を超えて世界を繋ぐツールとなったK-POP。皆さんは、歌詞に韓国語が少なくなっていく最近のトレンドについて、どう感じていますか?「やっぱり韓国語の響きが好き!」という意見や、「良い曲なら言葉は関係ない!」という想いなど、ぜひ皆さんの率直な感想をコメントで聞かせてくださいね!

出典:https://www.tenasia.co.kr/article/2026030503414

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