世界中で空前のブームを巻き起こしているNetflixの超人気シリーズ『ブリジャートン家』(19世紀初頭のロンドン社交界を舞台にした恋愛群像劇)。その最新作となるシーズン4で、物語の鍵を握るヒロイン「ソフィ・ベック」役に韓国系オーストラリア人俳優のハ・イェリン(하예린)が抜擢され、大きな注目を集めています。
2026年3月4日、ソウル市内で行われた記者懇談会に登壇したハ・イェリンは、華やかなスポットライトを浴びる現在の心境とともに、あまりにも意外な「キャスティングの裏側」を語ってくれました。日本の韓流ファンにとっても興味深い、彼女の素顔とルーツに迫ります。
■ 始まりは忠清南道のスーパー!?緊迫のオーディション裏話
ハリウッドの大型プロジェクトの主役といえば、さぞかし厳格なプロセスを経て決まったのかと思いきや、ハ・イェリンが最初にオーディションの提案を受けた場所は、意外にも韓国の地方都市でした。
「母と一緒に忠清南道(チュンチョンナムド:韓国中西部に位置する自然豊かな地域)の泰安(テアン)に滞在していた時でした。地元のロッテマート(韓国の大手スーパーチェーン)で買い物をしていたら、エージェントから電話がかかってきて『ブリジャートンを知ってるか?』と聞かれたんです」
そこからが、まさに「スピード勝負」だったといいます。24時間以内に演技の動画を送るよう指示され、ハ・イェリンは急いで数シーンを撮影して送付。その後、相手役であるベネディクト役のルーク・トムソンとオンラインで演技の呼吸を合わせるなどの過程を経て、数日後にはソウルの中心地・江南(カンナム)で合格の知らせを受け取ることになります。
「江南駅の近くでブランチを食べている時に合格の連絡をもらいました。あまりの嬉しさに、人混みのど真ん中で泣きながら叫んでしまったんです。周りの人たちは『あの女性、大丈夫かな?』と心配そうな顔で見ていましたね(笑)」
ちなみに彼女が滞在していた泰安(テアン)は、美しい海岸線で知られる観光地。そんなのどかな場所での日常から、一気に世界的なスターへの階段を駆け上がったシンデレラストーリーには、会場からも驚きの声が上がりました。
■ 多様性が生む「現代のファンタジー」と韓国らしい仕草の秘密
19世紀の英国を舞台にしながらも、あえて多様な人種を貴族階級として登場させる『ブリジャートン家』。制作陣が追求する「肌の色に関係なく誰もが愛を語り合える世界観」が、アジア系俳優であるハ・イェリンの抜擢を後押ししました。
「制作プロデューサーのションダ・ライムズは、過去の物語に現代の姿を反映させるのが本当に上手なんです。多様な人種や価値観が含まれているからこそ、世界中の誰もが自分のファンタジーを投影して楽しむことができるのだと思います」
劇中では、彼女が演じるソフィ・ベックが、韓国の公園などでよく見られる「薬水場(ヤクスト)拍手」のような仕草を見せるシーンが話題になっています。
※薬水場(ヤクスト)拍手:韓国の登山道や公園のベンチなどで、健康維持のために高齢者などが手を前後に入れ替えながら大きく叩く独特な拍手のこと。
これについてハ・イェリンは、「意図的にやったわけではありませんでした」と笑顔で回答。「ソフィというキャラクターは、休息をうまく楽しめない不器用な人物。そのぎこちなさをどう表現しようかと考えた時、自然とあの拍手が出てしまったんです」と、自身の韓国的なバックグラウンドが無意識に演技に溶け込んだエピソードを明かしました。
■ 「演劇界の女帝」ソン・スクの孫娘としてのプライド
ハ・イェリンを語る上で欠かせないのが、彼女の華麗なる家族構成です。彼女は韓国演劇界の至宝であり、日本でいうなら大竹しのぶさんや樹木希林さんのような圧倒的な存在感を放つ大御所俳優、ソン・スク(손숙)の孫娘なのです。
幼い頃から祖母の舞台を見て育った彼女は、表現者としての姿勢を間近で学んできました。
「祖母が一人芝居で、枕を赤ちゃんのように抱いて泣くシーンが今でも鮮明に記憶に残っています。それを見た観客も一緒に涙を流しているのを見て、『これが芸術の力なんだ。人間に慰めと共感を与える職業ってなんて素敵なんだろう』と幼心に感じました」
現在、目を患っているというソン・スクですが、テレビに顔を近づけて孫娘の活躍をチェックし、「誇らしいよ、愛してる」とメッセージを送ってくれるのだとか。ハ・イェリンはその言葉に深く勇気づけられていると、温かい表情で語りました。
■ 日本のファンへ:新たな「アジア系ヒロイン」の誕生を見届けよう
これまでアメリカのドラマ『リーフ・ブレイク』や『Halo』などに出演し、着実にキャリアを積んできたハ・イェリン。今回の『ブリジャートン家』シーズン4でのヒロイン抜擢は、アジア系俳優のハリウッドでの立ち位置をさらに強固にする歴史的な瞬間と言えるでしょう。
「私よりも才能がある人はたくさんいるはずなのに……」と謙遜する彼女ですが、相手役のルーク・トムソンは「彼女がオーディション会場に入ってきた瞬間、『あ、彼女こそがソフィだ』と確信した」と絶賛しています。
韓国の伝統的な感性と、オーストラリアで育った自由なマインド。その両方を併せ持つハ・イェリンが、19世紀ロンドンの社交界でどんな旋風を巻き起こすのか。配信が今から待ちきれません。
皆さんは、この驚きのキャスティングについてどう感じましたか?韓国のルーツを持つ俳優が世界的なヒット作の主役を飾る姿は、同じアジア人として誇らしいですよね。ハ・イェリンに見せてほしい「韓国人らしい一面」や、作品への期待をぜひコメントで教えてください!
出典:https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1247679.html
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