1991年にトニー賞を受賞したレア・サロンガ(Lea Salonga)でさえ、当時は「アジア人だから」とオーディションを断られていました。人種による役の制限を実力で打破し、後進の道を切り拓いた彼女の軌跡に迫ります。
■ アジア系俳優に立ちはだかった高い壁
ミュージカル『ミス・サイゴン』の主演として、1991年にアジア系女性として初めてトニー賞主演女優賞に輝いたレア・サロンガ(Lea Salonga)。世界的な評価を得た彼女ですが、その直後であっても次の役を探す際には、依然として人種という大きな壁に直面していました。
彼女はBBCとのインタビューで、当時の過酷な状況を振り返っています。エージェントがオーディションに名前を挙げても、制作側からは「アジア系だから(その役にキャスティングするのは)不可能だ」という答えが返ってきたといいます。当時は、アジア人が特定のキャラクターを演じること自体、想像すらされない時代でした。
■ 歴史を塗り替えた『レ・ミゼラブル』への挑戦
サロンガが世界的なアイコンとしての地位を不動のものにしたのは、ミュージカル『レ・ミゼラブル』への出演でした。彼女は同作で主要キャラクターであるエポニン役を演じた最初のアジア系女優となりましたが、このキャスティングは当時「実験」に近いものだったと語っています。
彼女が合流したのは1月という興行の非数期(客入りが落ち着く時期)であり、制作陣も「リスクがそれほど大きくない」と判断したのではないかと彼女は分析しています。しかし、この「実験」は大成功を収めました。サロンガは、自分のような有色人種の俳優が伝統的に白人が演じてきた役に就くことが、どれほど大きな意味を持つかを理解していました。自分が成功すれば、人種に関係なく実力がある者なら誰でもその役を目指せるようになるという、希望の光を示したのです。
■ 次世代へと繋がるバトンと「アジアの物語」の台頭
サロンガが切り拓いた道は、30年の時を経て確実に形になっています。現在、シンガポールで上演中の『レ・ミゼラブル:ザ・アリーナ・スペクタキュラー』では、シンガポール人として初めてウェスト・エンドでエポニンを演じたナターニャ・オン(Natania Ong)が同役を務めています。サロンガは、自分と同じアジア系の若手俳優が同じ舞台に立つ姿を見て、「あの時の実験は成功したのだ」と誇らしさを感じているといいます。
また、サロンガはキャスティングの変化だけでなく、より本質的な変化についても言及しています。それは、アジア系アーティストが西洋の物語に自分を合わせるのではなく、自分たちの物語を自ら発信し始めたことです。
その好例として、韓国人スタッフが中心となって制作され、ブロードウェイでも成功を収めたミュージカル『Maybe Happy Ending(어쩌면 해피엔딩)』を挙げています。この作品を通じて韓国人初のトニー賞受賞者が誕生した事実に触れ、「本当に素晴らしい作品や才能は、決して無視されることはない」と確信を深めています。
■ ロールモデルとしてのBTSへの称賛
サロンガは自らも熱烈なファンであることを公言しているBTSについても高く評価しています。世界的なステージで活躍する彼らの姿は、かつて自分がウェスト・エンドへ向かう時に感じた「国を代表する責任感」と重なる部分があるといいます。
「彼らはアジア全体の期待を背負っているように感じる」と述べ、多忙なスケジュールの中でも完璧なパフォーマンスを届ける彼らを称賛しました。最近も自身のボーカル練習の時間を遅らせてまでBTSのライブ配信を視聴したというエピソードを明かし、彼らのような存在が今の若い世代にとって、かつては存在しなかった「自分を投影できるロールモデル」になっていることを喜んでいます。
📚 Buzzちゃんの豆知識
■ トニー賞(Tony Awards)
アメリカの演劇・ミュージカル界で最も権威があるとされる賞です。映画の「アカデミー賞」、音楽の「グラミー賞」に相当し、ブロードウェイの劇場で上演された作品が対象となります。
■ 『Maybe Happy Ending(어쩌면 해피엔딩)』
韓国で初演され大ヒットしたオリジナルミュージカルです。近未来のソウルを舞台に、旧型のヘルパーロボット同士の交流を描いた繊細な物語で、韓国発の作品がブロードウェイへ進出し、高い評価を受けた歴史的な事例となりました。
サロンガさんのような先駆者がいたからこそ、今のK-POPや韓国ドラマの世界的な躍進があるんだなって改めて感じました。私も『財閥家の末息子』みたいな韓国独自の面白さが詰まった作品が大好きなので、アジアの物語がそのまま世界で認められる今の時代は本当に素敵だと思うんです。皆さんは、今の推しを応援していて「アジアの誇りだな」と感じる瞬間はありますか?それとも、国籍などは気にせず純粋に作品を楽しんでいる派ですか?





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