演技派女優【ヨム・ヘラン(염혜란)】が挑む失われた記憶の物語。映画私の名前はインタビューで見せた覚悟と独自の演技哲学

Buzzちゃんの見どころ

映画『私の名前は』は第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に招待され、済州4.3事件という歴史的悲劇を背景にしています。主演のヨム・ヘラン(염혜란)は、役作りのため済州の方言と韓国舞踊を習得しました。

■ 巨匠たちが全幅の信頼を寄せる俳優ヨム・ヘラン(염혜란)

いつからか、俳優ヨム・ヘラン(염혜란)という名前は、作品における「信頼」の代名詞となりました。どんな監督のどんな役柄であっても、観客の胸を打つ演技を見せる彼女は、ドラマや映画で短い登場シーンでも鮮烈な印象を残し、今や作品全体を象徴する存在へと進化を遂げています。

そんな彼女が今回、巨匠チョン・ジヨン(정지영)監督がメガホンを取った映画『私の名前は』に出演しました。本作で彼女が演じるのは、8歳以前の記憶を失いながらも、息子にとって友人であり、教え子たちから尊敬される舞踊講師でもある「ジョンスン」です。

ヨム・ヘラン(염혜란)は本作への出演を決めた理由について、監督から「作家主義的な独立映画ではなく、大衆に広く観てもらえる映画にしたい」と言われたことが印象に残っていたと語っています。デリケートな歴史的事実を扱いながらも、日常的で叙情的なイメージを大切にしたいという監督の意図に共感し、この難しい役に挑戦することを決意しました。

■ 未だ「名前」を持たない済州4.3事件を映画化するということ

本作の重要な背景となっているのが「済州4.3事件(チェジュヨンサンサゴン)」です。これは韓国現代史における大きな悲劇の一つですが、今なおその性質を定義する正式な呼称(名前)が決まっていないという側面を持っています。映画はこの歴史的な痛みを「名前を失った個人」の姿に重ね合わせて描いています。

劇中のジョンスンは、韓国現代史の苦難を一身に背負った母親像ではありますが、監督とヨム・ヘラン(염혜란)が目指したのは「典型的な被害者像」ではありませんでした。過去の苦痛を抱えながらも、現在は凛として美しく生きる女性として描かれています。スタイリングも彼女自身が手がけ、シルクのスカーフやサングラス、洗練されたスカート姿で「自分なりの美学を持つクールな女性」を表現しました。

本作は、第76回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に招待されるなど、国際的にも高い評価を得ています。彼女は現地での反応を振り返り、「自分たちの特殊な歴史の話なので心配もありましたが、多くの人が共感してくれました。普遍的に通じる物語なのだと確信しました」と語っています。

■ 演技と舞踊の共通点「何かをしようとしない」ことの大切さ

ジョンスンを演じる上で不可欠だったのが「済州方言」と「韓国舞踊」です。方言についてはNetflixドラマ『本当にお疲れ様でした』でIU(아이유)の母親役を演じた際に習得しており、舞踊については映画『マッド・ダンス・オフィス』での経験が活かされました。

特にハイライトとなる韓国舞踊のシーンについて、彼女は印象的なエピソードを明かしています。舞踊の先生から最も多く言われた言葉が「踊ろうとするな」だったそうです。これは彼女がかつて演技指導をしていた際、学生たちに言っていた「演技をしようとするな」という言葉と本質的に同じでした。「技術的にアプローチする前に、まずは感情をしっかりと感じること。それが何よりも重要だということを改めて学びました」と、彼女は語っています。

ヨム・ヘラン(염혜란)は、巨匠ポン・ジュノ(봉준호)監督の『殺人の追憶』から始まり、脚本家キム・ウンスク(김은숙)、映画監督パク・チャヌク(박찬욱)など、数々の巨匠たちから指名される「巨匠のピック」という別名も持っています。それほどの信頼を得ながらも、彼女は「賞賛も批判も半分だけ聞くようにして、平常心を保ちたい」と、謙虚な姿勢を崩しません。

「俳優としての欲が強いので、社会的なメッセージを発信するだけの俳優にはなりたくない。人間には多様な側面があるということを伝えていきたい」と語る彼女。20年という長い年月を誠実に、かつ情熱的に歩んできたヨム・ヘラン(염혜란)の挑戦は、これからも続いていきます。

出典1:https://sports.khan.co.kr/article/202604281442003?pt=nv
出典2:http://www.cine21.com/news/view/?mag_id=109845&utm_source=naver&utm_medium=news

📚 Buzzちゃんの豆知識

■ 済州4.3事件(チェジュヨンサンサゴン)

1947年から1954年にかけて、済州島で発生した武力衝突とそれに伴う住民虐殺事件のことです。韓国現代史の中でも非常に痛ましい悲劇の一つとして知られており、長らく語ることがタブー視されてきましたが、近年では真相究明が進み、多くの映画や文学のテーマにもなっています。

■ サルプリ(韓国舞踊)

韓国の伝統的な舞踊の一つで、厄払いや恨(ハン)を解くという意味が込められています。白い長い布を使い、空中に曲線を描くように舞う姿が特徴的です。悲しみを芸術へと昇華させる精神性が、本作のテーマとも深く結びついています。

Buzzちゃんの感想

ヨム・ヘラン(염혜란)さんといえば、『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』や『マスクガール』での圧倒的な存在感が忘れられません。今回は打って変わって、歴史の痛みを抱えながらも美しく生きる舞踊家ということで、その表現力の幅広さに改めて驚かされます。「賞賛も半分だけ聞く」という彼女のストイックな哲学が、あの深みのある演技を作っているのかもしれませんね。皆さんは彼女の出演作の中で、どのキャラクターが一番印象に残っていますか?

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