済州4・3事件を描く映画私の名前は、チョン・ジヨン監督が語る暴力のメカニズム

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ベテランのチョン・ジヨン(정지영)監督が済州4・3事件を描いた映画『私の名前は』を発表しました。市民約1万人から4億ウォンの寄付を集めて制作され、ベルリン国際映画祭でもヨム・ヘラン(염혜란)の演技が絶賛されています。

韓国映画界の巨匠、チョン・ジヨン(정지영)監督が、済州4・3事件(1948年に済州島で発生した武力衝突とそれに伴う住民虐殺事件)を正面から扱った新作映画『私の名前は』を公開しました。キャリア44年を誇る80歳の現役監督が、今あえてこの歴史的悲劇をテーマに選んだ理由と、制作の裏側に注目が集まっています。

■ 歴史の闇を照らす「社会派巨匠」の新たな挑戦

1983年にデビューしたチョン・ジヨン監督は、これまで『南部軍』や『白い戦争』、『折れた矢』、『南営洞1985』など、韓国社会の負の側面や不条理を鋭く告発するリアリズム映画を数多く世に送り出してきました。一時は政権による文化芸術界の「ブラックリスト」に載り、映画制作の現場から遠ざけられていた時期もありましたが、2019年の『ブラックマネー』や2020年の『少年たち』で健在ぶりを示しました。

最新作となる『私の名前は』は、2021年の済州4・3平和財団によるシナリオ公募展の当選作をベースにしています。物語は1949年、1998年、2026年という3つの異なる時間軸が交差する構成となっており、主人公のジョンスン(ヨム・ヘラン(염혜란))が、なぜ女性である自分に「ヨンオク」という男の子のような名前が付けられたのか、そのルーツを辿る旅を描いています。

■ 大企業の投資を拒み、市民の力で実現した制作

今作の制作過程は、決して平坦なものではありませんでした。済州4・3事件という政治的にデリケートなテーマを扱う映画に対して、韓国の大手企業は投資を躊躇する傾向にあります。そのため、これまでの関連作品の多くは、ドキュメンタリーや独立映画(インディーズ映画)として制作されるのが一般的でした。

しかし、チョン・ジヨン監督はこの問題を「全国化、世界化」するため、あえて大衆映画としての制作を決意しました。資金調達のために選択したのは、クラウドファンディング(Tumblbug)という手法です。「15億ウォン集まれば15億ウォンで、20億ウォン集まれば20億ウォンで撮る。何があっても完成させる」と宣言し、最終的に約1万人(9,778人)の市民から約4億ウォンの寄付を集めることに成功しました。これに加えて公的な支援金や借入を合わせ、総製作費30億ウォンのプロジェクトとして始動しました。

監督はこのプロセスを「資本の論理から独立し、市民の力で生まれた映画」と定義しており、多くの知識人やアーティストも監督への信頼から応援団として名を連ねました。

■ 「暴力の連鎖」を学校教育の現場から紐解く

今作は、凄惨な虐殺シーンを強調するだけの映画ではありません。監督は1998年の高校の教室を舞台に、現代にも通じる「いじめ(学校暴力)」の問題を通じて、済州4・3事件という歴史的な暴力を解釈しようと試みました。

当初の脚本では、1948年の出来事を10代の少女が経験する設定でしたが、監督はあえて主人公の年齢を50代後半に変更しました。幼い頃に経験した「何だか分からないが恐ろしい出来事」という子供の視点での記憶を軸にすることで、観客が歴史の重みをより身近に感じられるよう工夫されています。

第76回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に公式招待された際、現地のメディアは主演のヨム・ヘランの熱演に対し「彼女の演技そのものが歴史である」と最大級の賛辞を贈りました。韓国国内でも、2026年4月の公開日には李在明(イ・ジェミョン)大統領がSNSで公募した市民165名と共に鑑賞するなど、社会的な関心も非常に高まっています。

チョン・ジヨン監督はインタビューで、「この映画は痛みを伴うが、面白い映画だ」と語りました。歴史の悲劇をただ記録するだけでなく、エンターテインメントとして昇華させることで、より多くの人々に「なぜこのような悲劇が起きたのか」を問いかけています。

出典:https://www.sisain.co.kr/news/articleView.html?idxno=57742

📚 Buzzちゃんの豆知識

■ 済州4・3事件(チェジュサッサムサゴン)

1947年の記念行事での発砲事件をきっかけに、1948年4月3日から1954年まで済州島で起きた一連の武力衝突と鎮圧の過程を指します。多くの無実の住民が犠牲となりましたが、長い間、公に語ることがタブー視されてきた韓国現代史の大きな傷跡の一つです。

■ 文化芸術界のブラックリスト

特定の政治的傾向を持つアーティストや団体に対し、政府が公的な支援を打ち切ったり、活動を制限したりするために作成された名簿のことです。過去の政権下で実際に存在したことが明らかになり、表現の自由を揺るがす大きな社会問題となりました。

Buzzちゃんの感想

歴史の闇を暴くミステリー要素がある作品ということで、私の大好きな『財閥家の末息子』にも通じる重厚感を感じます!ヨム・ヘランさんの演技はいつも深みがあって大好きですが、今回もベルリンで絶賛されるほど素晴らしいんですね。皆さんはこういった歴史をテーマにした社会派映画を観る時、事前に背景を調べてから観る派ですか?それとも何も知らずに作品として楽しむ派ですか?

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