韓国社会の闇を笑いに昇華!大学路で初演された不条理劇屋根の上で雨中散歩とホームショッピングが話題

Buzzちゃんの見どころ

2026年4月にソウル・大学路で開催された「2026年創作短編演劇祭」にて、劇団アンサンブルの新作2作が初演されました。水害現場の屋根の上やホームショッピングを舞台に、韓国社会の不条理を鋭く描いた作品です。

ソウルの演劇の聖地、大学路(演劇の劇場が集まるソウルの地域名)では、商業的な規模は小さくとも、斬新なアイデアと真剣な悩みを感じさせる「小さな演劇」が数多く上演されています。その中でも、2026年4月11日から12日にかけてドリームシアターで初演された劇団アンサンブルの『지붕에서 우중산책』(屋根の上で雨中散歩)と『홈쇼핑』(ホームショッピング)が、韓国社会の不条理を鋭く風刺したブラックコメディとして注目を集めています。

■ 繰り返される水害と無責任な行政を描く『屋根の上で雨中散歩』

キム・ジンマン(김진만)が作・演出を手掛けた『지붕에서 우중산책』は、毎年繰り返される水害に苦しむ、ある村の状況に焦点を当てた作品です。舞台には瓦屋根の一部だけが突き出しており、その周囲はすべて水に浸かっているという設定で物語が始まります。

主人公の「女主人」を演じるのはキム・ヨンジン(김연진)です。彼女は浸水した家から必死に荷物を持って屋根に避難してきます。しかし、彼女が持ち出したのは権利書や通帳ではなく、長ネギや大根といった野菜と電気炊飯器でした。そこに、昨年も同じ屋根の上で一緒に避難したという市役所の都市計画課に勤める「ト課長」演じるイ・ギヨン(이계영)が流されてきます。

劇中では、生存をかけた二人のやり取りが絶妙な構造で描かれています。女主人が水害を繰り返す住民たちの声を代弁する一方で、ト課長は具体的な対策を講じない「机上の空論」や「行政便宜主義」の象徴として描かれています。ト課長は、前回の水害時の写真を活用して「災難対応革新企画団長」という職に就いたことを英雄譚のように自慢し、「引っ越せばいいじゃないですか」と平然と言い放ちます。それに対し、電気が通らなくても炊飯器を死守し、水害の中でも水キムチを漬けようとする女主人の姿は、庶民の切実な生存そのものを表現しています。

この作品の背景には、数十年間にわたり浸水被害がなかった地域が、近隣のマンション建設によって地盤が高くなったことで常習的な水害地域に変わってしまったという設定があります。自分たちの利益だけを優先する建設側と、安易に許可を出した行政の姿が、すべてを金銭価値で判断する現代社会の断面として浮き彫りにされています。

■ 人間が商品として売られる恐怖『ホームショッピング』

続いて上演された『홈쇼핑』は、ヤン・スグン(양수근)が書き下ろし、チョ・ジョンミン(조정민)が演出を担当しました。この作品では、資本主義社会の物質主義的な側面がさらに露骨に風刺されています。

舞台はテレビのホームショッピングスタジオで、販売されている商品はなんと「労働者3種セット」です。自身の商品価値を証明するために、どこへ売られるかも分からぬままランニングマシンで走り続ける労働者たちの姿は、現代社会を生きる小市民の姿を奇妙に、かつリアルに映し出しています。

ホスト役のチョ・ジョンミン(조정민)とMC役のユ・ムノ(유문호)がリズミカルに番組を進行する一方で、売られる側の人間たちは絶望的な姿を見せます。50代の男性労働者を演じるキム・ヨンファン(김영환)は、30年の経歴を持つ熟練工として、サーカスのような動きで自身の健在ぶりをアピールします。また、40代の女性労働者を演じるハン・ユジン(한유진)は、大卒者として片手で子供の問題集を解きながら別の家事をこなすなど、過酷な能力証明を求められる様子を演じています。

これら2つの作品は、観客に大きな笑いを提供しながらも、劇場を出る時には苦い後味を残すようなメッセージ性を持っており、韓国の創作演劇界に新たな一石を投じる内容となりました。

出典:http://www.dailysmart.co.kr/news/articleView.html?idxno=123199

📚 Buzzちゃんの豆知識

■ 大学路(テハンノ)

ソウル市鐘路区にある、韓国の演劇文化の中心地です。100以上の小劇場が密集しており、毎日多くの演劇やミュージカルが上演されています。ドラマで活躍する俳優たちの多くもこの大学路の舞台出身であることが多く、韓国エンタメの根幹を支える場所として知られています。

■ 人災(インジェ)

自然災害(天災)に対して、人間の不注意や設計ミス、行政の怠慢などが原因で引き起こされた災害を指す言葉です。韓国のニュースでは、大雨による水害などが起きた際、それが単なる気象現象なのか、それとも排水設備の不備などの「人災」なのかが大きな論争になることがよくあります。

Buzzちゃんの感想

私は『財閥家の末息子』のような、社会の不条理や裏側に切り込む作品が大好きなので、この2つの舞台もすごく気になります。特に「人間がホームショッピングで売られる」という設定は、今の就職難やスペック至上主義の韓国を象徴しているようで、他人事とは思えなくてゾッとしちゃいました。皆さんは、行政の無責任さを描いた水害の物語と、人間が商品化されるホームショッピング、どちらの設定により恐怖を感じますか?

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