韓国の国民的俳優として知られ、日本でもドラマ『シグナル(시그널)』や映画『お嬢さん(아가씨)』などで高い人気を誇ったチョ・ジヌン(조진웅)。そんな実力派俳優の「痕跡」が、Netflix(ネットフリックス)の公式映像から徹底的に排除され、韓国国内で大きな波紋を呼んでいます。
事件の舞台となったのは、3月1日の「三一節(サミルチョル)」に合わせて公開された特別映像です。日本人ファンの方には馴染みが薄いかもしれませんが、三一節とは1919年に朝鮮半島で起こった独立運動を記念する韓国の祝日のこと。韓国の人々にとっては非常に重要な日で、芸能界でもこの日に合わせてメッセージを発信したり、関連する作品を紹介したりするのが恒例となっています。
今回、Netflix Koreaは公式SNSに「彼らがいたからこそ、私たちは今日の春を生きています」というメッセージと共に、独立運動をテーマにした韓国コンテンツ5作品の名場面をまとめたショート動画を投稿しました。しかし、その動画の内容が「ある不自然な編集」によって注目を集めることになったのです。
■ 映画『暗殺』の名シーンから消されたチョ・ジヌン
問題となっているのは、2015年に公開され観客動員数1200万人を突破した大ヒット映画『暗殺(암살)』のシーンです。この作品は、日本統治時代の1933年を舞台に、独立軍による親日派暗殺作戦を描いたエンターテインメント大作。チョン・ジヒョン(전지현)が主演を務め、チョ・ジヌンも主要キャラクターである「速射砲(ソクサポ)」ことチュ・サンオク役で強烈な印象を残しました。
本来、この映画の象徴的なシーンの一つに、暗殺団の3人組であるアン・オギュン(チョン・ジヒョン)、ファン・ドクサム(チェ・ドクムン)、そしてチョ・ジヌン演じるチュ・サンオクが、太極旗(韓国の国旗)を背景に記念撮影をする場面があります。
しかし、今回Netflixが公開した映像では、チョン・ジヒョンのすぐ隣に立っているはずのチョ・ジヌンの姿が、巧みな画角調整によってすっぽりと切り取られていたのです。画面には彼の片方の肩がわずかに映り込むだけで、彼がそこにいたことを知らない人が見れば、最初から二人で撮影していたかのような不自然な仕上がりになっていました。
■ なぜNetflixは彼を「いなかったこと」にしたのか?
今回の徹底した排除の背景には、チョ・ジヌンを巡る深刻なスキャンダルと、それを受けた彼の「引退」があります。
実はチョ・ジヌンは昨年12月、高校時代の少年院送致歴や、成人後の暴行・飲酒運転疑惑といった過去の不祥事が次々と浮上。長年、クリーンで頼りがいのある「アジョシ(おじさん)俳優」として愛されていただけに、ファンに与えたショックは計り知れないものでした。彼はこれらの疑惑を認め、潔く俳優引退を宣言して全ての活動を中断しています。
韓国の芸能界は、日本以上に「道徳的責任」を厳しく問う傾向があります。不祥事を起こした芸能人が、放送局の自主規制によって過去の出演映像にモザイクをかけられたり、編集でカットされたりするのは珍しいことではありません。
特にチョ・ジヌンの場合、過去に「新興武官学校(独立軍の養成機関)記念事業会」の広報大使を務めたり、歴史的な英雄の遺骨奉還の際に「国民特使」として参加したりするなど、人一倍「愛国心のある俳優」としてのイメージが強かったことが、事態をより深刻にしました。三一節という神聖な日の記念映像に、物議を醸して引退した人物を登場させることは適切ではないと、Netflix側が判断したのでしょう。
■ 韓国ドラマ・映画界に与える「編集」の影響
今回の映像には『暗殺』のほかにも、Netflixオリジナルシリーズの『京城クリーチャー(경성크리처) シーズン2』や、ヒョンビン(현빈)主演の映画『ハルビン(하얼빈)』、キム・テリ主演の『ミスター・サンシャイン(미스터 션샤인)』など、日本でも人気の高い作品が多数含まれていました。
これらの作品は、歴史的な背景を知らなくてもアクションや人間ドラマとして楽しめる名作ばかりですが、韓国においては「国民の情緒」に深く関わる特別な意味を持っています。それゆえに、出演俳優の私生活での不祥事は、作品全体の価値をも損ねかねない致命的な問題となるのです。
今回のNetflixの対応に対し、韓国のネットユーザーからは「当然の処置だ」「歴史を扱う映像にふさわしくない人物を排除したのは正解」といった支持の声が多く上がっています。一方で、作品自体のファンからは「素晴らしい演技だっただけに、このような形で姿が消えていくのは寂しい」と複雑な心境を吐露する声も漏れています。
一人の俳優が築き上げてきたキャリアが、過去の過ちによって一瞬で「消去」されてしまう。この厳しい現実こそが、現在の韓国エンタメ界のリアリティなのかもしれません。
実力派として数々の名作を残してきたチョ・ジヌンだけに、こうした形での「決別」は非常にショッキングなニュースとなりました。彼の出演作を愛してきた日本のファンの皆さんにとって、この徹底した「排除」という韓国ならではの対応、皆さんはどう感じましたか?ぜひコメント欄であなたの考えを聞かせてください。
出典:https://www.mydaily.co.kr/page/view/2026030116371120231





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